与六が垣間見せる最高の瞬間を「今だ、撮りたい!」と思うときがある。スマホのカメラを向けて焦点や構図を考えていると・・・、あれっ、目を背けた。「こっち見て〜」と呼べば尚さらのこと、そっぽを向いて我が道を行くのが猫なのだ。

6歳にもなれば猫じゃらし程度じゃ振り向かない。どうしても目線をもらいたい時はフードで釣ってみるが、大好物の「ちゅーる」なんぞ見せた分には、「ちょうだいニャン」と身体を擦りつけておねだり。もしくはお腹を広げて降参のポーズを取るなど、飼い主の思惑には乗ってくれないのである。やはり猫は犬のように忠実ではないのか。

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ところが先日見た映画で、演技のできる猫がいることを知った。『先生と迷い猫』に登場する三毛猫で、本名はドロップ。ドラマ「あまちゃん」やバラエティ番組「ブラタモリ」にも出演した女優猫だそうで、動物プロダクションに所属している。人見知りすることがなく、環境が変わっても平気。カメラを向けられても動ぜず、誰の膝の上に抱かれていても、大人しくじっとしているそうなのだ。

演技する猫を育てたトレーナー曰く、猫には根を詰めさせない。その気にならないのを無理強いせず、その子のいいところを伸ばしていくのがトレーニングの秘策だという。

与六のいいところ、何だろう。優しいところかな。
  • 爪切りやブラッシングを嫌がらずに、されるがまま。

  • 頭を撫でると歯を見せてニヤッと笑う。

  • どんな野良猫にもフレンドリー(自分からミーッと猫撫で声をかける)。

  • 人見知りせず、お客様が大好き。宅配便のお兄さんも好き。

  • ゴキブリや蜘蛛に遭遇したら、飼い主より先に逃げる。

  • 飼い主が病気のときにはずっとベッドで寄り添ってくれる。

こんなふうに考えれば、与六はタレントにはなれなくても、いい相棒にはなれる。今も私の足元で「そろそろ夕飯の時間ニャ〜」と、時計の針がわりに尻尾をパタパタ。いつも私のことばかり気にかけてくれる君のためにも、健康で長生きしなくちゃね。
「さあ今夜はサンマを焼こうか」。呟いた一言に与六がくるりと振り向いて、熱い視線をくれた。