立秋とは名ばかりの、うだるような猛暑だ。昨夜は冷房を付けっ放しで寝てしまったので、身体がだるくて節々が痛い。こんな時にはちゃんと汗をかかねばと、意を決して散歩に出たものの、焼けつくような日差しに根をあげた。

日曜日だというのに、人っ子一人いない昼下がり。ジージー、ミーンミーンと降り注ぐような蝉しぐれに反して、子どもの声ひとつ聞こえないのは、揃ってプールにでも行ってるんだろうか。

とりあえず街に出て買い物をしようとバス停に立つと、前の家の洗濯物が目に入った。家族が多いのか、幾つも下がった物干しハンガーの最も手前に、肌色の大きなブラジャーが下がっている。道路側なのに何て大胆な・・・と凝視したけれど、きっとビア樽みたいなお腹をした、陽気なおばあちゃんの下着なのだろうと笑いがこみ上げてきた。

鳥の影が横切ったので空を見上げると、クロスした沢山の電線。ケーブルが全て地中に埋まっている我が家の周りに比べると、昭和の時代にタイムスリップした風景である。

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耳をすませば、どこか他の家からオリンピックの実況中継が聴こえてくる。お父さんが枝豆とビールをお供に、競泳の応援をしているのかな。「金メダル〜!」と絶叫するアナウンサーの熱狂度に、なんだか東京オリンピックがあった昭和39年が懐かしくなり、私も家に引き返すことにした。

「秋立つや 身はならはしの 余所(よそ)の窓」 一茶

小さな家々が軒を連ねた川沿いの道。蚊取り線香の匂い。
ゆっくりと首を振る扇風機を従えて、バレーボール女子の応援をしていた祖父がどこかの窓にいるようで、ちょっと切ない帰り道である。