地域社会
August 07, 2008
頑張れ!ウミガメの赤ちゃん
5月に美味しい真竹の子を送ってくれた屋久島の友人から、またサプライジングなメールが届いた。本人の許可を得て、今回も本文を引用させて頂く。
「友達と夕日を見に浜に行った帰りに、偶然見つけた産まれたてのウミガメちゃん。
砂浜の穴の中で元気がない様子…
穴の外まで連れていってあげたら、元気にテクテク這って海に帰っていきました
凄いよね

まだ赤ちゃんなのに一人で海に帰って、生きていくんだもん


あったかい気持ちで帰りました
」
さっそく動画を再生すると、目をクリクリ、足をバタバタ。ウミガメの赤ちゃんって何て小さいんだろう!生まれたての命が活動し始める奇跡が伝わってくる。
そういえば去年の12月、屋久島を一周したときに永田いなか浜で「ウミガメ上陸日本一」という看板を見つけたっけ。さっそくベージュ色のビーチをキョロキョロ見渡したが、動くものの気配はなかった。
それもそのはず、アオウミガメの産卵のシーズンは5月上旬〜7月下旬、孵化のシーズンは7月下旬〜9月下旬なのだ。
「NPO法人 屋久島うみがめ館」のサイトを見てみると、緊急報告のページにある折れ線グラフが気にかかった。
浜での見学者数が多い年は、孵化した子ガメが巣から脱出できる確率が低いという。
その原因は、巣穴が大勢の人に踏まれてしまい、卵の中で子ガメが死んでしまうこと。せっかく孵化しても見学者が掘り返したことによって、子ガメが穴から這い登れなくなって死んでしまうことが考えられる。
1993年に世界遺産に登録された島だというのに、お土産にと屋久杉の皮を剥いで持っていく観光客しかり、ウミガメの命を脅かすツアー客しかりの情けないマナー。屋久島住民の半分は、これ以上観光地化が進むのを望んでいないというのが納得できる。
今日は何匹の子ガメが海に向かって行くのだろう。絶滅が危惧されようと本能は力強い。
どうか友人が助けた一匹が、無事大人になって産卵に戻って来られますように。
そのときにはもっと環境が守られたビーチになっていますように。
木々も動物も、大きくても小さくても、若くても老いても、命はみんな美しい。
「友達と夕日を見に浜に行った帰りに、偶然見つけた産まれたてのウミガメちゃん。
砂浜の穴の中で元気がない様子…
穴の外まで連れていってあげたら、元気にテクテク這って海に帰っていきました
凄いよね


まだ赤ちゃんなのに一人で海に帰って、生きていくんだもん


あったかい気持ちで帰りました

」さっそく動画を再生すると、目をクリクリ、足をバタバタ。ウミガメの赤ちゃんって何て小さいんだろう!生まれたての命が活動し始める奇跡が伝わってくる。
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そういえば去年の12月、屋久島を一周したときに永田いなか浜で「ウミガメ上陸日本一」という看板を見つけたっけ。さっそくベージュ色のビーチをキョロキョロ見渡したが、動くものの気配はなかった。
それもそのはず、アオウミガメの産卵のシーズンは5月上旬〜7月下旬、孵化のシーズンは7月下旬〜9月下旬なのだ。
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「NPO法人 屋久島うみがめ館」のサイトを見てみると、緊急報告のページにある折れ線グラフが気にかかった。
浜での見学者数が多い年は、孵化した子ガメが巣から脱出できる確率が低いという。
その原因は、巣穴が大勢の人に踏まれてしまい、卵の中で子ガメが死んでしまうこと。せっかく孵化しても見学者が掘り返したことによって、子ガメが穴から這い登れなくなって死んでしまうことが考えられる。
1993年に世界遺産に登録された島だというのに、お土産にと屋久杉の皮を剥いで持っていく観光客しかり、ウミガメの命を脅かすツアー客しかりの情けないマナー。屋久島住民の半分は、これ以上観光地化が進むのを望んでいないというのが納得できる。
今日は何匹の子ガメが海に向かって行くのだろう。絶滅が危惧されようと本能は力強い。
どうか友人が助けた一匹が、無事大人になって産卵に戻って来られますように。
そのときにはもっと環境が守られたビーチになっていますように。
木々も動物も、大きくても小さくても、若くても老いても、命はみんな美しい。
April 08, 2008
人情に触れあう屋久島
旅先での自由時間は、地元の人たちの暮らしを見て歩くのが好きだ。
物干し竿に下がった大小の洗濯物、半開きの玄関からは魚を焼く匂い、垣根越しに世間話をするおばちゃんたち・・。裏道に迷い込むほど足を止める回数が増える。
屋久島の安房(あんぼう)は、水中翼船トッピーが発着する海の玄関口。トビウオ漁が盛んな港町だ。集落の真ん中を流れる安房川に沿って歩き始めると、陽気な暮らしぶりが目に飛び込んでくる。
「ごみをすてるな」の立て札の下には、ちゃっかり誰かが置いたゴミ。朝5時半から深夜1時半まで営業しても「火の車」な店。大音量で演歌を流しながら巡回する「走る魚屋さん」。
4月の初旬なのにツツジは満開。川べりの猫たちも並んだ消防車たちも、安穏でございますとばかりに動かない。
喫茶店の看板を見つけて入ってみれば、近所の市場から野菜を積んだ車が到着。ずんぐり太った大根と屋久島産のヤマイモが、段ボール箱ごと降ろされた。町の青年団とおぼしきお兄さんが立ち話に応じてくれる。
ガジュマルの木陰、海に向いたテラスで、自称・姓名判断の達人というお爺さんと同席した。「ワシは屋久島の赤ん坊140人に名前を付けたんだ」と話し出したら止まらない。
私の名前の総画数に人生のアドバイスを頂きながら、カフェオレの午後を過ごす。
ティータイムが終わると、安房港では堤防釣りのベストタイム。
サビキとコマセカゴの仕掛けで、サバやムロアジを狙う釣り人たちが集まっている。
釣竿がしなってリールを巻くと、透き通った海面に獲物が見えてきた。手につかんだらポキッと首を折るのは、血を抜いて鮮度を保つためだという。
こちらも頑張るぞと挑戦してみたものの、結果はみごと「坊主」に終わった。
(ちなみに「坊主」は一匹も釣れないことを言う釣り用語なのだが、いったいどうして? 調べてみれば「「釣れる気配がない」=「毛がない」から坊主だとか、「殺生をしていない」から坊主という理由のようだ。)
夕暮れが迫った安房川のほとり。釣り糸を垂れているお爺さんに出会った。
目が不自由でありながら、大きなボラを釣りに毎日やって来ているらしい。「ボラは旨いよ」とクーラーボックスに入った今日の獲物を見せてくれた。
「晩御飯のおかずですね?」と尋ねれば「いいや、猫のエサだよ」に大笑い。出掛けに見かけた猫たちが、丸々と太っている訳が理解できた。
人間も動物もみんなが名前を持っている、顔見知り同士で生活しているんだな。
ガイドブックには載っていない人情に触れると、次に訪れた時には「ただいま」の挨拶をする旅になる。
物干し竿に下がった大小の洗濯物、半開きの玄関からは魚を焼く匂い、垣根越しに世間話をするおばちゃんたち・・。裏道に迷い込むほど足を止める回数が増える。
屋久島の安房(あんぼう)は、水中翼船トッピーが発着する海の玄関口。トビウオ漁が盛んな港町だ。集落の真ん中を流れる安房川に沿って歩き始めると、陽気な暮らしぶりが目に飛び込んでくる。
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「ごみをすてるな」の立て札の下には、ちゃっかり誰かが置いたゴミ。朝5時半から深夜1時半まで営業しても「火の車」な店。大音量で演歌を流しながら巡回する「走る魚屋さん」。
4月の初旬なのにツツジは満開。川べりの猫たちも並んだ消防車たちも、安穏でございますとばかりに動かない。
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喫茶店の看板を見つけて入ってみれば、近所の市場から野菜を積んだ車が到着。ずんぐり太った大根と屋久島産のヤマイモが、段ボール箱ごと降ろされた。町の青年団とおぼしきお兄さんが立ち話に応じてくれる。
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ガジュマルの木陰、海に向いたテラスで、自称・姓名判断の達人というお爺さんと同席した。「ワシは屋久島の赤ん坊140人に名前を付けたんだ」と話し出したら止まらない。
私の名前の総画数に人生のアドバイスを頂きながら、カフェオレの午後を過ごす。
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ティータイムが終わると、安房港では堤防釣りのベストタイム。
サビキとコマセカゴの仕掛けで、サバやムロアジを狙う釣り人たちが集まっている。
釣竿がしなってリールを巻くと、透き通った海面に獲物が見えてきた。手につかんだらポキッと首を折るのは、血を抜いて鮮度を保つためだという。
こちらも頑張るぞと挑戦してみたものの、結果はみごと「坊主」に終わった。
(ちなみに「坊主」は一匹も釣れないことを言う釣り用語なのだが、いったいどうして? 調べてみれば「「釣れる気配がない」=「毛がない」から坊主だとか、「殺生をしていない」から坊主という理由のようだ。)
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夕暮れが迫った安房川のほとり。釣り糸を垂れているお爺さんに出会った。
目が不自由でありながら、大きなボラを釣りに毎日やって来ているらしい。「ボラは旨いよ」とクーラーボックスに入った今日の獲物を見せてくれた。
「晩御飯のおかずですね?」と尋ねれば「いいや、猫のエサだよ」に大笑い。出掛けに見かけた猫たちが、丸々と太っている訳が理解できた。
人間も動物もみんなが名前を持っている、顔見知り同士で生活しているんだな。
ガイドブックには載っていない人情に触れると、次に訪れた時には「ただいま」の挨拶をする旅になる。
March 05, 2008
中国製品のボイコットに想う
私はカシミアのセーターが苦手である。それは着心地や保温性の良し悪しを言っているのではなく、すぐに毛玉ができるので管理が面倒くさいからだ。
ところが例外の1着がある。20年も前になるだろうか、某TV局のプロデューサーから中国土産として頂いた"MADE IN CHINA"のセーターだ。
ネックのラベルに"100% CASHMERE"と書いてあるのを信じれば、ここまで長持ちして、しかも何度クリーニングに出そうと毛玉が殆ど出来ないカシミアは見たことがない。
残念ながらサイズが大きすぎたので、ジーンズの上にガバッと羽織る普段着にしか愛用していないが、他のどのセーターよりも重宝している。
しかしこんな良質の製品も手に入らなくなる状況が迫っているようだ。
毒入り餃子事件から過熱化した「中国製品のボイコット」。
最も不信感を抱くのは、知らん顔を通す中国政府の対応であり、やる気のなさを感じさせる日本政府の悠長な追求だ。
答えを得られない購買層の中には「全中国製品輸入禁止!!」を謳うブログまで現れている。
ボイコットが進めば最も苦しむのは、貧困にあえぐ労働者層だろう。
3月2日のNHKスペシャル『激流中国 上海から先生がやってきた 〜貧困の村で〜』によれば、経済成長の陰で中国農村部はおよそ6000万人の貧困人口を抱えているという。
朝昼晩と、具のない饅頭のみを食べ続ける子供たち。
父を亡くして母は大怪我。借金に追われた家庭で、姉を進学させるため出稼ぎに出る弟。
しかし物価の上昇のせいで、賃金のアップよりも生活費支出の方が嵩む。そこに不買運動が続いて工場が閉鎖されることになれば、働く場所さえ無くなってしまうだろう。
20年も愛用してきたカシミアのセーターには、身体で感じる有毒性はない。
しかしともすれば製作段階で、有害物質を垂れ流す工場が地球の環境破壊を進めているかもしれない。
安全で良質の製品を求める購買者。貧困から抜け出したい労働者。
両者を置いてけぼりにして私腹を肥やしているのは、いったい誰なのか。
世界中でガラガラポンの必要性を感じずにはいられない。
ところが例外の1着がある。20年も前になるだろうか、某TV局のプロデューサーから中国土産として頂いた"MADE IN CHINA"のセーターだ。
ネックのラベルに"100% CASHMERE"と書いてあるのを信じれば、ここまで長持ちして、しかも何度クリーニングに出そうと毛玉が殆ど出来ないカシミアは見たことがない。
残念ながらサイズが大きすぎたので、ジーンズの上にガバッと羽織る普段着にしか愛用していないが、他のどのセーターよりも重宝している。
しかしこんな良質の製品も手に入らなくなる状況が迫っているようだ。
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毒入り餃子事件から過熱化した「中国製品のボイコット」。
最も不信感を抱くのは、知らん顔を通す中国政府の対応であり、やる気のなさを感じさせる日本政府の悠長な追求だ。
答えを得られない購買層の中には「全中国製品輸入禁止!!」を謳うブログまで現れている。
ボイコットが進めば最も苦しむのは、貧困にあえぐ労働者層だろう。
3月2日のNHKスペシャル『激流中国 上海から先生がやってきた 〜貧困の村で〜』によれば、経済成長の陰で中国農村部はおよそ6000万人の貧困人口を抱えているという。
朝昼晩と、具のない饅頭のみを食べ続ける子供たち。
父を亡くして母は大怪我。借金に追われた家庭で、姉を進学させるため出稼ぎに出る弟。
しかし物価の上昇のせいで、賃金のアップよりも生活費支出の方が嵩む。そこに不買運動が続いて工場が閉鎖されることになれば、働く場所さえ無くなってしまうだろう。
20年も愛用してきたカシミアのセーターには、身体で感じる有毒性はない。
しかしともすれば製作段階で、有害物質を垂れ流す工場が地球の環境破壊を進めているかもしれない。
安全で良質の製品を求める購買者。貧困から抜け出したい労働者。
両者を置いてけぼりにして私腹を肥やしているのは、いったい誰なのか。
世界中でガラガラポンの必要性を感じずにはいられない。
January 08, 2008
野良猫と素浪人の関係
駐車場から車を出して最初のカーブを曲がるとき、できる限りゆっくり走る。
この1ヶ月ぐらい人相(?)の悪い猫が、必ず道路に座っているのだ。
植え込みの中にいる分にはいいが、時には車道の真ん中で寝転んでいたり、フラフラ寄ってきたりする。クラクションを鳴らしても無視。轢かない様にこちらが避けて通るしかない。
猫は家に居つくという定説があるが、この猫は道路に居ついている。
しかも朝から晩まで同じ場所にいるのだから、ご飯を食べる暇はあるのだろうか。
寒さに毛を膨らませているので肥って見えるけれど、栄養状態は悪いらしく毛並みは荒れている。
シャッターを押したついでに、手を伸ばしてみるとフーッ!と威嚇された。
じりじりと後ずさりしながらガンを飛ばしている。
追いかけて手を伸ばすと猫パンチーーーっ!いててーっ!
思い出したのは実家の庭によく来ていた黒猫。
食卓にお皿が並ぶと、いつもの待機場所に姿を現す。
手のひらにエサを載せて差し出すたびに、猫パンチを食らって私は傷だらけだった。
カラスが「やくざ」の生まれ変わりなら(これは私が勝手に作った説)、ホームレス猫は「素浪人」の生まれ変わりか。みすぼらしくも気位は高く、再仕官の道を探している。
今日もカーブで待機する猫パンチくんは逗子の用心棒、「センセイ」と名づけよう。
ご奉公できるお殿様が早く見つかりますように。
(ちなみに我が家はペット禁止のマンションなの。ごめんねっ。)
この1ヶ月ぐらい人相(?)の悪い猫が、必ず道路に座っているのだ。
植え込みの中にいる分にはいいが、時には車道の真ん中で寝転んでいたり、フラフラ寄ってきたりする。クラクションを鳴らしても無視。轢かない様にこちらが避けて通るしかない。
猫は家に居つくという定説があるが、この猫は道路に居ついている。
しかも朝から晩まで同じ場所にいるのだから、ご飯を食べる暇はあるのだろうか。
寒さに毛を膨らませているので肥って見えるけれど、栄養状態は悪いらしく毛並みは荒れている。
シャッターを押したついでに、手を伸ばしてみるとフーッ!と威嚇された。
じりじりと後ずさりしながらガンを飛ばしている。
追いかけて手を伸ばすと猫パンチーーーっ!いててーっ!
思い出したのは実家の庭によく来ていた黒猫。
食卓にお皿が並ぶと、いつもの待機場所に姿を現す。
手のひらにエサを載せて差し出すたびに、猫パンチを食らって私は傷だらけだった。
カラスが「やくざ」の生まれ変わりなら(これは私が勝手に作った説)、ホームレス猫は「素浪人」の生まれ変わりか。みすぼらしくも気位は高く、再仕官の道を探している。
今日もカーブで待機する猫パンチくんは逗子の用心棒、「センセイ」と名づけよう。
ご奉公できるお殿様が早く見つかりますように。
(ちなみに我が家はペット禁止のマンションなの。ごめんねっ。)
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November 05, 2007
和太鼓の音は騒音なの?
週に1〜2度、家のお風呂の代わりに稲村ガ崎温泉に通っている。
美肌の湯効果を期待してはもちろんのこと、サウナで広がる友達の輪が楽しい。
今夜知り合ったのは、家にテレビがないという女性。
それだけでなくインターネットや携帯電話、エアコンや扇風機、ステレオもない生活を送っているという。
「貧乏ってわけじゃないんだけど」と笑う彼女の趣味は、和太鼓を叩くこと。
伝統芸能を継承する会に入っているのだと言う。
しかしその会も、今年から練習が出来なくなり解散してしまった。
太鼓の音がうるさいと、近所から「騒音被害」の苦情が押し寄せたからだ。
仕方なく夏でも窓を閉め切って練習したものの、脱水症状になり続行は断念したという。
そういえば先月のニュースでも・・。
「子供の声がうるさい」「部活のブラスバンドがうるさい」「サッカーボールを蹴る音がうるさい」等々、学校や公園、児童館に対して周辺住民からのクレームが相次いているそうだ。
窓やカーテンを閉めきり、子供が大声を出すたびに「静かに遊びましょう」と指導する職員。苦情は功を奏したかと聞き耳をたてるクレーマー。
受話器の向こうでキーキー怒鳴るヒステリー声の方が、よっぽど騒音だろうと同情したくなる。
いったい「騒音」と呼ぶものの基準は何なのか。
和太鼓や子供の声は騒音で、スピーカーで名前を連呼する選挙カーは騒音ではないのか。
多少ボリュームが大きくても、心に優しい音だってあるのだ。
石焼き芋のおじさんの声、豆腐屋さんのラッパの音・・、懐かしいアナログ音たちはもう映画の中でしか聞こえない。
ハイテンションなオバサンたちのお喋りだって、耳を傾けてみれば可愛いものだったり・・は、やっぱりしないか(笑)
美肌の湯効果を期待してはもちろんのこと、サウナで広がる友達の輪が楽しい。
今夜知り合ったのは、家にテレビがないという女性。
それだけでなくインターネットや携帯電話、エアコンや扇風機、ステレオもない生活を送っているという。
「貧乏ってわけじゃないんだけど」と笑う彼女の趣味は、和太鼓を叩くこと。
伝統芸能を継承する会に入っているのだと言う。
しかしその会も、今年から練習が出来なくなり解散してしまった。
太鼓の音がうるさいと、近所から「騒音被害」の苦情が押し寄せたからだ。
仕方なく夏でも窓を閉め切って練習したものの、脱水症状になり続行は断念したという。
そういえば先月のニュースでも・・。
「子供の声がうるさい」「部活のブラスバンドがうるさい」「サッカーボールを蹴る音がうるさい」等々、学校や公園、児童館に対して周辺住民からのクレームが相次いているそうだ。
窓やカーテンを閉めきり、子供が大声を出すたびに「静かに遊びましょう」と指導する職員。苦情は功を奏したかと聞き耳をたてるクレーマー。
受話器の向こうでキーキー怒鳴るヒステリー声の方が、よっぽど騒音だろうと同情したくなる。
いったい「騒音」と呼ぶものの基準は何なのか。
和太鼓や子供の声は騒音で、スピーカーで名前を連呼する選挙カーは騒音ではないのか。
多少ボリュームが大きくても、心に優しい音だってあるのだ。
石焼き芋のおじさんの声、豆腐屋さんのラッパの音・・、懐かしいアナログ音たちはもう映画の中でしか聞こえない。
ハイテンションなオバサンたちのお喋りだって、耳を傾けてみれば可愛いものだったり・・は、やっぱりしないか(笑)
November 04, 2007
ハゲ山で見つけた午後
名越のトンネルを抜け逗子マリーナに向かう途中、気になっていた看板がある。
「このままで残そう ハゲ山」
夏には鬱蒼と樹木が茂っていた山道も、今ならヤブ蚊も気にせず登っていけそうだ。
デジカメを持って木の根を踏み越えつつ、「ハゲ山」征服にチャレンジした。
頂上に着いて拍子抜け。そこは単なる亀ヶ岡団地の住宅地で、右側に広い野原のようなものが見える。
聞こえてきた声の主を追えば、犬の散歩をする若い夫婦。かくれんぼをする子供たち。
「ハゲ山」は草木も生えない不毛の地ではなく、緑の小高い丘だったのだ。
入り口には「この土地は県有地です。立ち入りについてはご遠慮ください」という壊れかけの看板。
どうやら県営住宅の建設誘致場所として在った土地らしいが、売却するか広域避難場所とするかで、県と市が調整中らしい。
足の裏に草の感触を楽しみながら、ずんずんと歩いてみた。
端まで来ると住宅地の向こうに相模湾が広がり、私が住んでいるマンションも見える。
光を浴び、ところどころ赤い枯葉になった樹木が、風に乾いた音をたてる。
春にはピクニックマットとお弁当持参で来てみたい。
いつも海岸方面へばかりだった散歩コースに、また新しいルートが加わった。
今日の会心のショットは、樹木の大きな陰の向こうに、見おろす町並みをスケッチしている日曜画家。
フランスの田舎みたいな風景が、心ない乱開発の餌食にならないことを祈ろう。
♪『ひみつだったちか道 はらっぱはあるかな』
昔作った歌詞が、帰り道を探す心にリフレインした。
「このままで残そう ハゲ山」
夏には鬱蒼と樹木が茂っていた山道も、今ならヤブ蚊も気にせず登っていけそうだ。
デジカメを持って木の根を踏み越えつつ、「ハゲ山」征服にチャレンジした。
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頂上に着いて拍子抜け。そこは単なる亀ヶ岡団地の住宅地で、右側に広い野原のようなものが見える。
聞こえてきた声の主を追えば、犬の散歩をする若い夫婦。かくれんぼをする子供たち。
「ハゲ山」は草木も生えない不毛の地ではなく、緑の小高い丘だったのだ。
入り口には「この土地は県有地です。立ち入りについてはご遠慮ください」という壊れかけの看板。
どうやら県営住宅の建設誘致場所として在った土地らしいが、売却するか広域避難場所とするかで、県と市が調整中らしい。
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足の裏に草の感触を楽しみながら、ずんずんと歩いてみた。
端まで来ると住宅地の向こうに相模湾が広がり、私が住んでいるマンションも見える。
光を浴び、ところどころ赤い枯葉になった樹木が、風に乾いた音をたてる。
春にはピクニックマットとお弁当持参で来てみたい。
いつも海岸方面へばかりだった散歩コースに、また新しいルートが加わった。
今日の会心のショットは、樹木の大きな陰の向こうに、見おろす町並みをスケッチしている日曜画家。
フランスの田舎みたいな風景が、心ない乱開発の餌食にならないことを祈ろう。
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♪『ひみつだったちか道 はらっぱはあるかな』
昔作った歌詞が、帰り道を探す心にリフレインした。
October 09, 2007
秋の岩手旅行その4(八幡平とチベット)
もっと北へ、深い山の気を吸いに行こう。
雨上がりの青空に誘われて、朝から八幡平に向かった。
東北道を走ると右側には頂上が尖がった姫神山、左側には猛々しい岩手山がそびえている。
八幡平市松川温泉の標識を辿っていけば、突然右側に現れる染織工房「夢蒸染」。
火山活動によって蓄えられた豊富な地熱蒸気を利用して、手絞り・手染織の織物を作っている工房で、2つとない偶然のグラデーションが特徴だ。
敷地内には直営ショップ兼ペンションの「アルペンローゼ」が隣接し、カフェでは鮮やかなランチョンマットの上に入れたてのコーヒーを出してくれる。
今回訪ねた目的は、今月末まで開かれている「八幡平・岩手山と青海チベットの花写真展」。
ここでは去年・今年とチベット・フラワーウォッチングツアーを行っていて、標高三千〜四千メートルの高原で撮ってきたという、珍しい花たちの写真が展示されている。
秋の八幡平と同様、チベットの空は抜けるようなブルー。
その下に咲く花の中でも特に目立つのは「幻の青いケシ」といわれるメコノプシス・ホリドゥラで、見た目はまるで造花?
工事現場のブルーテントがちぎれて散らばっているのかと思ったそうだ。
なぜチベット高原にこれほど花が咲いているかと言えば、ヒントは「遊牧」にある。
ヤクや羊たちが牧草を食べつくしたあとに残るのは、赤、白、黄色、ピンク、青・・色とりどりの花だけ。
遊牧民たちにとっては、むしろ花の方が雑草という意識があるらしく、平気で手折って観光客にプレゼントしてくれるとか。
写真パネルを飾ったギャラリーを見ているうちに、ふと気付いたのは部屋の壁にある暖房。
地熱蒸気が中を通る銀色のパイプが這わしてあり、これを取り付ける前は冬になれば、部屋の中でも気温が零下だったという。
やがて数ヶ月後には窓の高さまで雪が積もり、閉ざされた冬篭りの季節が続く。
白い壁に囲まれて、チベットの花たちの思い出に癒される生活はどんなだろう。
温かい家族のもてなしにお礼を言い、山道を下っていくと再び岩手山が現れた。
強い風にあおられて、木の葉が雪のように飛んでいく。
「今年の紅葉は黄色が強そうですね。でも黄色い葉ほど、早く散ってしまうんですよ」。
色をいとおしむ心。帰りがけにアルペンローゼで聞いた季節便りが耳に蘇った。
雨上がりの青空に誘われて、朝から八幡平に向かった。
東北道を走ると右側には頂上が尖がった姫神山、左側には猛々しい岩手山がそびえている。
八幡平市松川温泉の標識を辿っていけば、突然右側に現れる染織工房「夢蒸染」。
火山活動によって蓄えられた豊富な地熱蒸気を利用して、手絞り・手染織の織物を作っている工房で、2つとない偶然のグラデーションが特徴だ。
敷地内には直営ショップ兼ペンションの「アルペンローゼ」が隣接し、カフェでは鮮やかなランチョンマットの上に入れたてのコーヒーを出してくれる。
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今回訪ねた目的は、今月末まで開かれている「八幡平・岩手山と青海チベットの花写真展」。
ここでは去年・今年とチベット・フラワーウォッチングツアーを行っていて、標高三千〜四千メートルの高原で撮ってきたという、珍しい花たちの写真が展示されている。
秋の八幡平と同様、チベットの空は抜けるようなブルー。
その下に咲く花の中でも特に目立つのは「幻の青いケシ」といわれるメコノプシス・ホリドゥラで、見た目はまるで造花?
工事現場のブルーテントがちぎれて散らばっているのかと思ったそうだ。
なぜチベット高原にこれほど花が咲いているかと言えば、ヒントは「遊牧」にある。
ヤクや羊たちが牧草を食べつくしたあとに残るのは、赤、白、黄色、ピンク、青・・色とりどりの花だけ。
遊牧民たちにとっては、むしろ花の方が雑草という意識があるらしく、平気で手折って観光客にプレゼントしてくれるとか。
写真パネルを飾ったギャラリーを見ているうちに、ふと気付いたのは部屋の壁にある暖房。
地熱蒸気が中を通る銀色のパイプが這わしてあり、これを取り付ける前は冬になれば、部屋の中でも気温が零下だったという。
やがて数ヶ月後には窓の高さまで雪が積もり、閉ざされた冬篭りの季節が続く。
白い壁に囲まれて、チベットの花たちの思い出に癒される生活はどんなだろう。
温かい家族のもてなしにお礼を言い、山道を下っていくと再び岩手山が現れた。
強い風にあおられて、木の葉が雪のように飛んでいく。
「今年の紅葉は黄色が強そうですね。でも黄色い葉ほど、早く散ってしまうんですよ」。
色をいとおしむ心。帰りがけにアルペンローゼで聞いた季節便りが耳に蘇った。
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October 06, 2007
秋の岩手旅行その3(北上市の現実)
やわらかく晴れた土曜日。岩手旅行3日目は、北上平野を見降ろすことからスタートした。
男山の展望台に登ると市街地の遥か遠く、北に岩手山がうっすらと見える。
眼下は北上川と和賀川のダイナミックな合流点。水から発する清らかな気がここまで昇ってくるほどだ。

田園風景を見下ろすなら、縄文時代の住居跡が発掘された樺山遺跡。
赤とんぼが飛び、栗の実が生る公園内には復元された竪穴住居やストーンサークルが点在し、芝生でお弁当を広げるピクニックには最適な環境だ。

足下に広がる北上台地では、ちょうど稲の刈り取りが行われている。金色の絨毯の上を赤いコンバインが移動して、よく見れば作業しているのはたったの数人。
一家総出の稲刈りなんて遠い昔のことだったかと、農業の機械化が進んだことに改めて驚かされる。
人影の少なさは田園だけでなく、繁華街でも同じこと。
50億円を投じて再開発が行われたという中心市街地は、どの店もシャッターを下ろし廃業状態。栄えたのはせいぜい2〜3年だけというアーケード街は、たまに自転車が通り過ぎるだけのゴーストタウンとなっている。
かつてのお客たちは郊外の大型ショッピングセンターに奪われてしまったそうだ。
若い人たちはどこで何をしているのか。
アメリカンワールドというアミューズメント施設内、昨夜飲みに行った「郷土芸能居酒屋 鬼剣舞」の舞台を思い出す。ここでの楽しみは週末の晩、鬼剣舞や獅子踊りといった民俗芸能のライブが見られることだ。

昨夜登場したのは北上市の創作太鼓グループ「飛勢太鼓」。
子供たちを含む12名の男女が、大太鼓・小太鼓を振り付けと共にエネルギッシュに叩きまくる。弾ける音の激しさは床を伝わり、ジーンズの裾が揺れるほどだった。
30分のステージでも相当量の練習と鍛錬を要するだろう。遊びたい盛りのジェネレーションが郷土芸能を伝承していくことに、賞賛の拍手を送らずにはいられなかった。
それにしても店内は、金曜の夜であってもお客がチラホラ。
車で移動するしか手段のない地方都市では、飲酒運転の取締り強化が確実に飲食店のお客を激減させている。
そして少子化、高齢化、過疎化・・。
政治家が確約する「地域活性策」は矛盾に満ちていると、この目でしっかりと見た現実だった。
男山の展望台に登ると市街地の遥か遠く、北に岩手山がうっすらと見える。
眼下は北上川と和賀川のダイナミックな合流点。水から発する清らかな気がここまで昇ってくるほどだ。

田園風景を見下ろすなら、縄文時代の住居跡が発掘された樺山遺跡。
赤とんぼが飛び、栗の実が生る公園内には復元された竪穴住居やストーンサークルが点在し、芝生でお弁当を広げるピクニックには最適な環境だ。

足下に広がる北上台地では、ちょうど稲の刈り取りが行われている。金色の絨毯の上を赤いコンバインが移動して、よく見れば作業しているのはたったの数人。
一家総出の稲刈りなんて遠い昔のことだったかと、農業の機械化が進んだことに改めて驚かされる。
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人影の少なさは田園だけでなく、繁華街でも同じこと。
50億円を投じて再開発が行われたという中心市街地は、どの店もシャッターを下ろし廃業状態。栄えたのはせいぜい2〜3年だけというアーケード街は、たまに自転車が通り過ぎるだけのゴーストタウンとなっている。
かつてのお客たちは郊外の大型ショッピングセンターに奪われてしまったそうだ。
若い人たちはどこで何をしているのか。
アメリカンワールドというアミューズメント施設内、昨夜飲みに行った「郷土芸能居酒屋 鬼剣舞」の舞台を思い出す。ここでの楽しみは週末の晩、鬼剣舞や獅子踊りといった民俗芸能のライブが見られることだ。

昨夜登場したのは北上市の創作太鼓グループ「飛勢太鼓」。
子供たちを含む12名の男女が、大太鼓・小太鼓を振り付けと共にエネルギッシュに叩きまくる。弾ける音の激しさは床を伝わり、ジーンズの裾が揺れるほどだった。
30分のステージでも相当量の練習と鍛錬を要するだろう。遊びたい盛りのジェネレーションが郷土芸能を伝承していくことに、賞賛の拍手を送らずにはいられなかった。
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それにしても店内は、金曜の夜であってもお客がチラホラ。
車で移動するしか手段のない地方都市では、飲酒運転の取締り強化が確実に飲食店のお客を激減させている。
そして少子化、高齢化、過疎化・・。
政治家が確約する「地域活性策」は矛盾に満ちていると、この目でしっかりと見た現実だった。
October 04, 2007
秋の岩手旅行その1(一関・平泉)
仙台駅を過ぎたら、車窓の両側は稲刈りの終わった田んぼが続いている。
まるで広大な道場。毛羽立った畳が並んでいるかのように見えた。
朝9時台の東北新幹線に乗り、一ノ関駅に着いたのはお昼前。岩手といえば仕事で盛岡に来たことはあるけれど、旅をするのは初めてだ。
まずは腹ごしらえ。大正7年に創業した蔵元「世嬉の一(せきのいち)酒造」の敷地には、地ビールの醸造所や、酒蔵を改造したクラシカルなレストランも建っている。
せっかくだから珍しいもの、この地域で有名な郷土料理「もち膳」をオーダーした。ハレの日に食べる料理で、つきたての餅に添える「もちだれ」は何と200種類もあるという。
今日出てきたのは5種類(ごま、ずんだ、生姜、あんこ、かぼちゃ)の餅とお雑煮のセットで、女性向けの甘さ。箸休めに付いてきた大根の漬物に救われる。
お昼なので地酒はパスしたが、隣接した「酒の民族文化博物館」では約1,600点もの酒造用具が展示されていて、試飲もできる。
高さ3メートル、巨大な仕込桶からいったい何升の日本酒が生まれるのだろう。桶の中で記念撮影も出来るらしいが、見ているだけで酔っ払った気分になった。
それにしても朝まで居た都心とのギャップ。日中でも殆ど人が歩いていないのだ。
人間よりも数が多いのは、田んぼの中に天日干しされた稲穂たちで、まるで案山子か藁人形のように見える。
人里を外れたら林の中をひた走り、隠れ里にある「風聞園」へ。
明治6年築の旧家から古材を用い、16年もかけて建てられたギャラリーだ。朽ちかかった手書きの道しるべが頼りなので、無事に辿り着けるかは運次第。
入り口の障子戸を開けると、おっとりとした奥様から三つ指をついてのご歓待を受け、こちらも恐縮の至りである。
「お好きな場所にお座りください」で、選んだ席は柱時計の音だけが響く部屋。
大きな梁の下にはレンガ造りの薪ストーブ。籠に生けた野草が目と心を癒してくれる。
ゆったりと、水出しコーヒーとお手製のお菓子を頂く。
そして観光ならやはり、世界遺産登録が間近な平泉。奥州藤原氏三代の歴史を訪ねて歩く。
まずは松尾芭蕉が『夏草や兵どもが夢の跡』を詠んだ、毛越寺の浄土庭園。大泉が池に流れ込む「遣水(やりみず)」の脇には萩の花が紅を添える。
観光バスが次々やってくる中尊寺では、『五月雨の降残してや光堂』の金色堂。その近くにひっそりと佇む白山神社の能舞台は、長い年月に晒されて侘び寂びの色合いだ。
初めて訪れた北の古都は、東京よりも日没が早いことに今更ながら驚く。
観光客が消えた裏道。杉木立を渡っていく風の響きが、平安貴族の衣擦れの音に聴こえた。
明日はもっと北へ上る。
まるで広大な道場。毛羽立った畳が並んでいるかのように見えた。
朝9時台の東北新幹線に乗り、一ノ関駅に着いたのはお昼前。岩手といえば仕事で盛岡に来たことはあるけれど、旅をするのは初めてだ。
まずは腹ごしらえ。大正7年に創業した蔵元「世嬉の一(せきのいち)酒造」の敷地には、地ビールの醸造所や、酒蔵を改造したクラシカルなレストランも建っている。
せっかくだから珍しいもの、この地域で有名な郷土料理「もち膳」をオーダーした。ハレの日に食べる料理で、つきたての餅に添える「もちだれ」は何と200種類もあるという。
今日出てきたのは5種類(ごま、ずんだ、生姜、あんこ、かぼちゃ)の餅とお雑煮のセットで、女性向けの甘さ。箸休めに付いてきた大根の漬物に救われる。
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お昼なので地酒はパスしたが、隣接した「酒の民族文化博物館」では約1,600点もの酒造用具が展示されていて、試飲もできる。
高さ3メートル、巨大な仕込桶からいったい何升の日本酒が生まれるのだろう。桶の中で記念撮影も出来るらしいが、見ているだけで酔っ払った気分になった。
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それにしても朝まで居た都心とのギャップ。日中でも殆ど人が歩いていないのだ。
人間よりも数が多いのは、田んぼの中に天日干しされた稲穂たちで、まるで案山子か藁人形のように見える。
人里を外れたら林の中をひた走り、隠れ里にある「風聞園」へ。
明治6年築の旧家から古材を用い、16年もかけて建てられたギャラリーだ。朽ちかかった手書きの道しるべが頼りなので、無事に辿り着けるかは運次第。
入り口の障子戸を開けると、おっとりとした奥様から三つ指をついてのご歓待を受け、こちらも恐縮の至りである。
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「お好きな場所にお座りください」で、選んだ席は柱時計の音だけが響く部屋。
大きな梁の下にはレンガ造りの薪ストーブ。籠に生けた野草が目と心を癒してくれる。
ゆったりと、水出しコーヒーとお手製のお菓子を頂く。
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そして観光ならやはり、世界遺産登録が間近な平泉。奥州藤原氏三代の歴史を訪ねて歩く。
まずは松尾芭蕉が『夏草や兵どもが夢の跡』を詠んだ、毛越寺の浄土庭園。大泉が池に流れ込む「遣水(やりみず)」の脇には萩の花が紅を添える。
観光バスが次々やってくる中尊寺では、『五月雨の降残してや光堂』の金色堂。その近くにひっそりと佇む白山神社の能舞台は、長い年月に晒されて侘び寂びの色合いだ。
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初めて訪れた北の古都は、東京よりも日没が早いことに今更ながら驚く。
観光客が消えた裏道。杉木立を渡っていく風の響きが、平安貴族の衣擦れの音に聴こえた。
明日はもっと北へ上る。
September 18, 2007
ディープな食い倒れ旅行(京都編)
この連休、京都・大阪に食い倒れ旅行をしてきた。
下調べなし、行き当たりばったりの店に入ろうという無計画な旅である。
で、まずは京都編。
新幹線のホームに下りた途端、モアーッと全身を包み込む蒸し暑さ。東京よりも平均気温が3度は高いんじゃないかと思われ、額も背中も噴き出した汗でぐっしょりになる。
それでも一箇所ぐらいは観光をしようと世界遺産の二条城へ向かい、うぐいす張りの廊下でピヨピヨサンダル気分を楽しむ。庭園を抜ける頃には熱射病寸前。生ビールを求めて、逃げるようにタクシーに乗り込んだ。
つまみ食いを楽しむべく、京都の台所・錦小路へ。
香ばしい匂いに足を止めると、焼岩がき1個400円の看板にみんな足を止めている。老舗の魚屋『大安』が開いているカウンターバーだ。
10人も入れば満員なので長っ尻はできないけれど、牡蠣以外にも刺身や焼き魚など、小腹を満たすには便利な店である。
さらにそぞろ歩き。魚屋、漬物屋、佃煮屋・・と両脇を見ながら引き込まれたのは、京野菜の八百屋。
各コーナーに店主が書き添えてあるキャッチフレーズが面白い。「精力絶倫の山芋」、トマトには「頭のハゲは豊龍の龍」、「食べられるホオ月」の後ろには「食べられないほおづき」。遊び心満載の京野菜に思わず苦笑いする。
次は錦天満宮の手前を右折し、寺町京極の通りへ。
これしかないでしょ!と入ってみたのは、『スタンド』というレトロな食堂(居酒屋?)だ。
丸テーブルは仲良く相席、大理石の細長いカウンターではみんなTVのタイガース戦を向き、チーズを肴に呑んでいる。
エプロンをかけたおばちゃんに聞けば、もう80年もやってる店だとか。人気は「自家製コロッケ」のようだが、せっかく関西に来たのだからと「ビフカツ」と「鰻ざく」をオーダーする。ピタピタの牛肉を揚げたビフカツは絶対お勧めで、あっという間に平らげた。
お腹がいっぱいになっても、これからが夜本番。
川床料理にしようかと四条大橋に足を向けたが、鴨川沿いはどこも満席で、予約なしでは難しい。
歩いているうちに木屋町二条の路地を入り、「おばんざい一皿500円」という小料理屋「酣(たけなわ)」を発見した。
骨董の香りがするカウンターの中には麗しい女性が2人。
並んだ大皿料理から「さんまの生姜煮」「海老しんじょう」「自家製シュウマイ」を選ぶと、趣味のいい伊万里のお皿に盛り付けてくれる。後から聞いた話によれば、一皿何万円のコレクションらしい。
お客さんは殆どがジモティー。どこか面白いバーはないかと訪ねると、変わり者のマスターがいる店として、先斗町のジャイブバーを紹介してくれた。

ジャズやブルースのライブが聴けるという『STARDUST CLUB』。
大賑わいの先斗町で、四条大橋に近い大衆割烹の2階、アンティーク風の店内に入ってみたら、なぜか四畳半フォークのインディーズCDが流れている。
カウンターに座ると、首から上はソクラテス、下は岩城滉一風のマスターが怪訝そうにこちらを見た。怪しげなのはルックスだけで、話せばその気さくさ・適当さに惹きこまれていく。
美味しい店を訪ねたら、出る出る京都批判。
「豆腐料理なんて、日本全国どこの豆腐でも同じ」
「京懐石は、大きな皿にほんのちょっぴり料理が乗って、味も素っ気もない」
やがて若い女性3人連れが入ってきた。
「ここはジャズバーって聞いたんですが・・」
「はいはい、うちは今からジャズバーです」
四畳半フォークをすぐにジャズのCDに替え、カウンター客を端に追いやり、彼女たちをまん前に座らせる。カルアミルクの注文には、常連に近所のコンビにまで牛乳を買いに行かす。
やるね万年青年、鼻の下を伸ばしきった65歳!
その後何時にホテルに帰ったかの記憶はないけれど、次回はせめて2泊はしようと心に決めた京都の夜だった。
下調べなし、行き当たりばったりの店に入ろうという無計画な旅である。
で、まずは京都編。
新幹線のホームに下りた途端、モアーッと全身を包み込む蒸し暑さ。東京よりも平均気温が3度は高いんじゃないかと思われ、額も背中も噴き出した汗でぐっしょりになる。
それでも一箇所ぐらいは観光をしようと世界遺産の二条城へ向かい、うぐいす張りの廊下でピヨピヨサンダル気分を楽しむ。庭園を抜ける頃には熱射病寸前。生ビールを求めて、逃げるようにタクシーに乗り込んだ。
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つまみ食いを楽しむべく、京都の台所・錦小路へ。
香ばしい匂いに足を止めると、焼岩がき1個400円の看板にみんな足を止めている。老舗の魚屋『大安』が開いているカウンターバーだ。
10人も入れば満員なので長っ尻はできないけれど、牡蠣以外にも刺身や焼き魚など、小腹を満たすには便利な店である。
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さらにそぞろ歩き。魚屋、漬物屋、佃煮屋・・と両脇を見ながら引き込まれたのは、京野菜の八百屋。
各コーナーに店主が書き添えてあるキャッチフレーズが面白い。「精力絶倫の山芋」、トマトには「頭のハゲは豊龍の龍」、「食べられるホオ月」の後ろには「食べられないほおづき」。遊び心満載の京野菜に思わず苦笑いする。
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次は錦天満宮の手前を右折し、寺町京極の通りへ。
これしかないでしょ!と入ってみたのは、『スタンド』というレトロな食堂(居酒屋?)だ。
丸テーブルは仲良く相席、大理石の細長いカウンターではみんなTVのタイガース戦を向き、チーズを肴に呑んでいる。
エプロンをかけたおばちゃんに聞けば、もう80年もやってる店だとか。人気は「自家製コロッケ」のようだが、せっかく関西に来たのだからと「ビフカツ」と「鰻ざく」をオーダーする。ピタピタの牛肉を揚げたビフカツは絶対お勧めで、あっという間に平らげた。
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お腹がいっぱいになっても、これからが夜本番。
川床料理にしようかと四条大橋に足を向けたが、鴨川沿いはどこも満席で、予約なしでは難しい。
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歩いているうちに木屋町二条の路地を入り、「おばんざい一皿500円」という小料理屋「酣(たけなわ)」を発見した。
骨董の香りがするカウンターの中には麗しい女性が2人。
並んだ大皿料理から「さんまの生姜煮」「海老しんじょう」「自家製シュウマイ」を選ぶと、趣味のいい伊万里のお皿に盛り付けてくれる。後から聞いた話によれば、一皿何万円のコレクションらしい。
お客さんは殆どがジモティー。どこか面白いバーはないかと訪ねると、変わり者のマスターがいる店として、先斗町のジャイブバーを紹介してくれた。

ジャズやブルースのライブが聴けるという『STARDUST CLUB』。
大賑わいの先斗町で、四条大橋に近い大衆割烹の2階、アンティーク風の店内に入ってみたら、なぜか四畳半フォークのインディーズCDが流れている。
カウンターに座ると、首から上はソクラテス、下は岩城滉一風のマスターが怪訝そうにこちらを見た。怪しげなのはルックスだけで、話せばその気さくさ・適当さに惹きこまれていく。
美味しい店を訪ねたら、出る出る京都批判。
「豆腐料理なんて、日本全国どこの豆腐でも同じ」
「京懐石は、大きな皿にほんのちょっぴり料理が乗って、味も素っ気もない」
やがて若い女性3人連れが入ってきた。
「ここはジャズバーって聞いたんですが・・」
「はいはい、うちは今からジャズバーです」
四畳半フォークをすぐにジャズのCDに替え、カウンター客を端に追いやり、彼女たちをまん前に座らせる。カルアミルクの注文には、常連に近所のコンビにまで牛乳を買いに行かす。
やるね万年青年、鼻の下を伸ばしきった65歳!
その後何時にホテルに帰ったかの記憶はないけれど、次回はせめて2泊はしようと心に決めた京都の夜だった。






































































