文章で稼ぐ贅沢

作詞からプログラミングまで、文字を並べて生きる物書きのひとりごと @ 逗子

カテゴリ: 地域社会

駅に向かって歩く途中、立ち止まってスマホのメールを見ていたら「すみません」と声をかけられた。「〇〇行のバスはどこから乗るんでしょうか」の質問に乗り場を指さした直後に、ハッと気付いたこと。その男性は白い杖をつき、私は黄色い点字ブロックの上に立っている。バス乗り場の番号を探して歩いてきた彼の行く手を、私は知らずに妨げていたのである。

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先日、車椅子バスケのパラリンピアンである男性から障害とは何かについて話を聞いた。彼らは障がい者と呼ばれているけれど、身体が不自由なことは障害ではないという。例えば点字ブロックの上に誰かが荷物を置けば、そこに初めて目の不自由な人の歩行を妨げる障害が生まれる。バリアフリーでない駅で車椅子では降りられない段差があれば、それが足の不自由な人の障害となる。どんな人でも暮らしやすくする街づくり、困っている人の立場になって考えてあげる心づくりが必要なんだと教えて戴いた。

彼がバスケに出会ったのは車椅子生活になってからのこと。高校生のとき交通事故で脊椎を損傷するまでは大して運動にも興味がなかったという。失意に負けず、持ち前の陽気さとポジティブさで練習に励み、シドニーオリンピックでは車椅子バスケ日本代表のキャプテンを務めた。今は障害についての講演活動をしながら、全国の学校を回る日々が続いているという。彼のポリシーは「語るよりも見せる」。車椅子からバスケのゴールに100発100中でシュートを決める格好よさに子どもたちは目を輝かせ、障害なんていう垣根はどこへやら、たちまち年齢差を超えた友達になるのだそうだ。

近ごろは盲導犬が後ろから刺されたり、杖をついて歩く盲学校の生徒が蹴られたり、胸の痛むニュースが続く。混雑の中を急ぐ人ににとっては邪魔な存在かもしれないけれど、彼らはハンディキャップを持っているだけで、決して「害」ではない。誰が障がい者なんていう言葉を作ったのか、逆に100%健常者と呼べる人がこの世にいるのか、自分と違っている人を差別する偏見こそが大きな障害なのだと思う。
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コートを着ていると汗ばんでしまうほど暖かな日曜日。ランチのあと近くの小学校まで投票に出かけた。掲示板に貼られたポスターは4枚。その顔をじっくり確認するでもなく、住民たちは無口に校舎へ入っていく。

小坪小学校

投票所

小選挙区、比例代表、最高裁判所裁判官と3枚の用紙を投票箱に入れ、教室を出ると清々しい気分。ニュースによれば投票率が2009年に比べ大幅にダウンしているそうだが、麗らかな晴天が有権者の足を行楽地へ向けさせてしまったのだろうか。

山茶花

帰り道に真っ赤な山茶花が目にとまりデジカメを取り出す。懐かしく思い出したのは七里ヶ浜にあった祖父母の家で、山茶花と椿が庭の至るところに咲き、凛とした冬の空気に赤・白・ピンクが際立っていた。丘の頂上にあった家から投票所までは20分も坂道を下らなくてはならなかったが、二人とも午前7時の投票開始に一番乗り。まるで年始の挨拶にでも行くように精いっぱいめかしこんで出かけたものだった。

10年ほど前に売却してしまったその家はどうなったのか、車で30分の距離なのに見に行く勇気がない。つげの生垣や歌舞伎門、ひょうたん型の池、毎年たくさんの実がなった梅やスモモの木、もちろん山茶花や椿たちも、すべてが消えてしまったのを見るのが辛いからだ。もし私がお金持ちなら維持して祖父母の心を住まわせてあげることが出来たのにと、解消なしの自分が情けない。

家に戻って選挙公報に書かれたマニフェストをもう一度読んでみた。夢みたいな約束は並んでいても「どうやって」の具体的な方法論が書かれていない。祖父母が投票に行った時代は、少なくともこんな張り子の虎みたいな候補者たちじゃなかった気がする。誰を選べば国民の暮らしは本当に豊かになるのか、日本にはもう次がないギリギリの選挙。バブル崩壊後に失ったものは多すぎて、日本そのものが思い出の故郷になってしまった気がしている。
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無縁社会を浮き彫りにしたような最近のニュース。さいたま市のアパートで餓死した親子3人の遺体が見つかったり、立川市のマンションで母親が病死したあと幼い息子が衰弱死ししているのが見つかったりと、死後1〜2か月たってからの発見である。誰も気付かない、ドア1枚隔てた不幸。今や「向う三軒両隣」なんて言葉は死語になったのだろうか。

孤独死に至る前には、孤独病の兆候がある。貧困、病気、家庭環境、性格など何がしかの要因が蜘蛛の巣のようにはびこり、他人とのあいだに隔たりをつくる孤独病にさせるのだ。孤独病はうつ病とは異なって、社会が生み出した心の生活習慣病と言えるかもしれない。

先日、こんな能天気な私でも我が身を省みる出来事があった。ウォーキングに出かけ、下の階の住人とバッタリ出会った時のこと。目を丸くしての開口一番は、「あら、いらしたんですか!」。人が住んでいるのかどうか分からないほど、私の部屋からは物音がしないというのである。

孤独に慣れ過ぎたひとり暮らし。5年前に引っ越して来た頃はお客様をたびたび招き、テラスで騒がしくBBQをしてご近所に迷惑をかけたこともあったが、今では猫が突発的に運動会をする程度だ。プライバシーの保護にお金をかけたこのマンションは、壁と床にかなりの厚みがあるので生活音が周りに響くことはなく、しかも仕事場である書斎はメゾネットの上階にある。下の住民には音が聞こえようがない。

インターネットが進歩したおかげで東京に出向く必要が減り、一日の大半はパソコンの前。食料品はおうちコープによる宅配。生活と仕事に必要な物資は楽天やアマゾンで購入。買い物に行かなくなった代わりに送料というコストが増えたが、それは宅配便のお兄さんたちによる安否確認代みたいなものだ。

近ごろは飲みに行くのさえ面倒になって孤独病まっしぐら?いつのまに忍び寄ってたの?
これは危険域に達したと思い、浮いた飲み代でお出かけ用の服を買った。水墨画みたいな百合をモチーフにしたプリントのジャケット。私のワードローブにはない派手さだが、時には人目を惹くことも孤独病の治療になる。女のコミュニケーションツールである口紅も可愛いピンクのを選ぼう。

外に出なきゃ。「放っておくと大変なことになりますよ」の前に、今夜は友人の携帯に赤ワインの絵文字メールを送った。
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それは近所の喫茶店で、友人たちとお喋りをしている土曜日の午後だった。赤色灯をつけたパトカーとバイクが止まり、通りを挟んで真向いの食料品店に数名の警官たちが入っていくのを目撃した。この地域では先日も、独り暮らしの老人が火事で亡くなるという痛ましい出来事が起きたばかり。今度は強盗でも入ったのかと、私たちは食料品店の中で何が起きているのかを案じていた。

やがて警官に促されて出てきたのは7〜8歳の男の子。通行人たちが注目する中、パトカーに乗せられて行ってしまったが、さっそく食料品店の従業員に事情を聞くと「万引き」だという。盗られたのはペットボトル1本で、「他のコンビニで買った」と嘘をついたので警察に連絡したのだそうだ。

事情を知った私たちはひどく不快な気分になった。見たくないものを見てしまったと後味が悪かった。むろん罪は罪。しかし善悪の判断もままならぬ子どもがジュース1本盗んだからと言って、果たして110番するのが正しい選択肢だろうか。人のものを盗るのは悪いことだと教えて「次からは絶対にダメだよ」と放免するか、さもなければ親に連絡するか、大人としてとるべき方法は他にあったはずだ。

子どもは地域の宝物。自分の子どもでなくとも、ルール違反をすれば近くにいる大人が叱って社会教育をするのが望ましい。げんこつが当たり前だった昭和の時代は遠くなって、「叱る」「教える」という行為がストレートでなくなり、他人行儀になった。
電車の中で騒ぐ我が子に「ほら、あのオジサンが怒ってるから静かにしなさい」という母親。子どもが塀に落書きしたり蹴ったボールがガラスを割ったりすれば、弁護士を雇って争う親たち。そして今回の万引き事件も100円のジュース1本で子供を警察に連行するという戒めとなった。

警察を呼んだ店の従業員は「オレは当然のことをした」という顔をしていたが、図体は大人でも精神面は子どものまま成長していない。「先生に言いつけちゃうぞ」のガキ根性そのものである。
うなだれてパトカーに乗せられた子どもは本当に物を盗ったのか、真実は定かでなくとも将来ずっと心に傷が残ることは間違いない。大岡裁きがベストとは言わないが、大人になれない大人が増え、彼らから温かい人情が消えていくことに寂しさを感じるのは私だけだろうか。
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平年より8日も早く、関東地方が梅雨明け。朝から夏空が広がっていますが、逗子は適度な海風が吹く爽やかな週末になりました。その一方で被災地では、熱気のこもる仮設住宅で、ガレキから発生した震災バエと戦いながらの生活だそうです。

僅かでも被災地の支援となるように、7月10日(日曜日)のお昼頃から、逗子チーム有志によるミニ・フリーマーケットを行うことになりました。場所はJR逗子駅・京急新逗子駅から歩いて3分。レストランバー「海音」の駐車場です。

私たちが持ち寄った夏物衣類や雑貨など多数並べて販売しますので、お立ち寄り頂けると幸いです。売上げは全て被災地への支援金に回します。

「海音」アクセス
逗子市逗子2-6-22 晴綾館103
TEL:046-871-8580

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店舗では5周年記念のBBQ(有料)を行っておりますが、その脇でこじんまりと開催するフリマです。明日の天気は快晴。どうぞお散歩のついでに、のぞいてみて下さいね。
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