文章で稼ぐ贅沢

作詞からプログラミングまで、文字を並べて生きる物書きのひとりごと @ 逗子

カテゴリ: 音楽・楽器・歌・映画

私が最初に従事した職業は作詞家だ。でもその職業は演歌、アニソン、子どもの歌、CMソング、秋元康を除くと、昭和の名残りかもしれない。今は歌手本人が作詞・作曲をするのがほとんど。シンガーソングライターという呼び名すら死語となってしまった。

よほどの大センセイ以外、作詞家の寿命は限られている。放送作家より若干長いぐらいで、50歳を迎える前に、他の職業にシフトしている人が多いと思う。私もその一人で、40歳から始めたWEB制作とプログラミングがメインになり、作詞の印税はほんのお小遣い程度だ。小学校の音楽教科書には2曲載っているけれど、教科書は無償なので儲かる術もない。その楽曲を掲載(または録音・演奏・カラオケ・配信)した出版社や放送局から入ってくる印税のみである。

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2007年にこのブログを始めたとき、どうやって作詞家になったかの経緯を書いた。

作詞家になるには・その1

作詞家になるには・その2


「その1」から抜粋しよう。
私の場合は高校生の時、無謀な売り込みをしたのがきっかけだ。
親に買ってもらったフォークギターを練習しているうちに、自分でも作ろうと数曲書き溜めた。それをラジカセでカセットテープに録音して、ヤマハ音楽振興会に送りつけたのである。

拙さ丸出しの楽曲。山と積まれたデモテープに埋もれて消えるはず・・が、意外な返事が来た。
「作曲についてはもっと勉強する必要があるが、詞は才能がある。優秀作品としてヤマハのポプコン歌詞集に載せたいので著作権契約をしたい」という内容だった。

一斉を風靡したヤマハのポピュラーソングコンテストは、中島みゆき、長渕剛、チャゲ&飛鳥など多数の有名アーティストを輩出した新人の登竜門。詞を書くのが苦手な人のため、ヤマハが発行する作詞集に載せてもらったのである。しかも2曲だ。

というわけで生まれて初めて書いた詞がディレクターの目に止まり、「もっと作曲を勉強するように」と作編曲の勉強をさせられた。ところが大学生になって遊びほうけたり、結婚と離婚のブランクがあったりして、本当のプロとして作詞家になったのは20歳後半である。

一流の作詞家たちと並んで、加山雄三さんのアルバムに私の作った歌が入ったときは、他人事のようだった。NTTのCMソングに採用されてテレビで流れるのを聴き、作詞家が自分の職業なんだと初めて実感したのである。

それから放送作家・脚本家・構成作家を掛け持ちしつつ、いろんな歌手の方々、テレビ東京のアニメ、NHKの教育番組、お母さんといっしょなどで詞を書きながら、40歳で「文章書き」から「WEBプログラマー」へと職を変えた。どちらも起承転結の伴う文を書くという点で、似たようなものだと思っている。

でも、今だから言うけれど、高校生のとき私が本当になりたかった職業は、作詞家ではなく歌手だったのである。音大に行きたくて声楽も習っていたのに、どうしてあのときディレクターに「歌手になりたいです」と言えなかったのか、還暦となったこの歳でも後悔している。

起きている時間の大半をネットの仕事に費やしている今、沢山の最新情報が目に入ってくる。もしあと10歳、いや20歳若かったら絶対に応募していたと思うオーディションを見つけた。

MUSIC PLANET 「新人アーティスト発掘プロジェクト2018」という、新人ボーカル発掘プロジェクト。なんと満20歳〜49歳までのアーティストを目指す男女が応募できるのだ。未経験者OKで、応募写真は不要、書類審査なしなのは第一関門の敷居が低い。


国内外の有名アーティストを手掛けてきた音楽プロデューサーが面談・審査し、合格すれば本格的なボイストレーニングを経て、売り出しのためのオリジナル楽曲が作られる。レコーディング、アーティスト写真撮影、LIVE出演、そして数々の音楽配信でオリジナル曲が流れるという。

将来モノになるか白紙のまま専門学校やスクールに通うよりも、歌唱審査によって自分が向いているかどうか、ダイレクトに分かるのは手っ取り早い近道だろう。


私は離婚後に音楽スクールに入って現役の大センセイに付いたけれど、習うよりも実践しなさいと仕事を分けてもらい、あっという間にプロになった。周りからは「もともと才能があったからだよ」と言われても、当の本人に自信なんてなかった。でも高校生のとき歌手になれなかった後悔から、巡ってきた機会は絶対に逃がさないと、チャンスの女神の前髪をつかんだのである。

その当時に比べたら、40歳を過ぎてもオーディションに応募できるなんて羨ましすぎる。
問題は多額のお金がかかるんじゃ?という心配。MUSIC PLANETのQ&Aを見ると「面談・審査において費用は発生しません。通過後は、プロジェクト参加時に費用をご負担いただきます」と書いてある。

私だったら無料の面談・審査にトライしてから考えるだろう。自分にボーカルの才能があるかどうか、プロデューサーの顔色を見に行くことが先決だと思うからだ。一つ山を越えて次の山に向かうかは、自分の意思をきっぱり持って考えればいい。

Youtubeを見ていたら、セカオワのFukaseくんが私の作った歌を早口で歌っているのを発見。ワンコーラスだったけれど空で歌ってくれて、あのとき作詞家になって良かったとしみじみ思った。チャンスの女神は後ろ髪もちょっとだけ残してくれていたようである。




MUSIC PLANET

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買い物といえばAmazon Primeに頼ってばかりの私だが、近ごろ殆ど買わなくなったものがある。ミュージックCDだ。

ソファーにゆっくり腰をおろして音楽を聴く習慣がなくなり、パソコンで仕事をしながら聴くのは無料のインターネットラジオ。このブログを書いている今も、AccuRadioの"Magic Summer Autume Mood"というミュージックチャンネルを聴いている。カーリー・サイモンの"You're So Vain(うつろな愛)”が流れると、キーボードを打つ指が止まり、心は青春時代へと飛んでいく。

ネットの普及で音楽はダウンロードして手に入れるものになった。聞くところによると、音楽業界はCDが売れなくなって衰退の一途を辿っているとか。スガシカオがTwitterで「DLだと制作費全部赤字。CD買ってほしい」と呟いたのは、衝撃として広まった。iTunesの売り上げまで落ち込んだ要因は、タダで音楽が手に入るYoutubeやインターネットラジオが原因なのだろう。

さらには若者が車を買わなくなったことも、音楽不況を加速している。電車で移動中に音楽を聴くのはスマホとイヤホン。マイカーでドライブしながら、誰かと一緒に聴くシーンが無くなったのだ。私もMINIに乗っていたころは、Amazonで新曲CDを取り寄せてはCDチェンジャーに積み込んでいたものだが、車を手放してからは無縁になった。

好きなミュージシャンのライブチケットなら並んで手に入れるけれど、音源はお金を出して買わない。もしかしてそれは、アナログ音とデジタル音との差に問題があるのかもしれない。オーディオに凝って「イイ音」を追求しても、デジタル・ミュージックには心を打つ深みがないと思うのだ。

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我が家のリビングルームには、実家から持ってきた蓄音器が置いてある。盤を回すためのハンドルは無くなってしまったが、朝顔型のラッパの存在感は大きい。

乗っかっているレコードはずっしり重たく、一曲だけが入っている。読み取れたのは、小畑実「函館のランタン娘」(キングレコード)。手で回しながら針を落とすと、ウィーンウィーンと歪んだ弦楽器の音が、祖父の生きていた昭和を連れてくる。

きっと一家揃って、もしかしたら座布団に正座して、みんなで蓄音器の音に耳を傾けたんだろうな。遠い遠い、音楽が貴重品だった時代にタイムスリップしたくなった。
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雨上がりの空気がぬるんだ日曜日。なまった身体をほぐしにウォーキングに出かけたいが、締め切りに四苦八苦する状況から抜け出せない。明日は仲間内のミニ・パーティーがあるので、徹夜明けのゲッソリした顔を晒さないよう、早めに片付けたいところだ。

そしてもう一つ、何としても時間を取りたいのが3月26日のコンサート。横浜市磯子区民センター(杉田劇場)で行われる、杉劇リコーダーずの定期演奏会だ。彼らは6歳〜85歳まで、46名のメンバーからなる異世代リコーダー・アンサンブルで、地元のみならず日本全国へ演奏活動に出かけ、東日本大震災の復興支援活動も行っている。

私の作詞した「赤いやねの家」を定番にしてくれているご縁で、昨年末に新作を一つ書き下ろした。長年コンビを組んでいる上柴はじめさんのメロディーに詞をつけた「あなたの笑顔」という曲である。

デモを聞いて印象的だったサビの部分にまずは、♪ 笑って! なんだか曇った顔してる 今日よりも 明日はうんといい日だよ ♪ の歌詞をはめ込み、後から全体を構成する作り方にしてみた。何もないところから詞を書くより、この方式が私には百倍も簡単なので、1時間かからずに完成したと思う。

コンサートに向けて歌劇団まで編成したと聞き、どんな演奏がステージに繰り広げられるかが楽しみだ。あくまでも演奏者が主役で、作者は裏方仕事。これまで人前に出たことは殆どなかったが、照れくさいことに今回は壇上でトークコーナーが用意されているらしい。これこそ徹夜明けでは行けないな。

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暑さ寒さも彼岸まで。ニュースによれば、ソメイヨシノが例年より4日早く開花した。1週間後に聴ける「あなたの笑顔」が、ますます沢山の春を運んでくれるように願っている。
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保関連法案をめぐって、激しい攻防が繰り広げられている。委員長に詰め寄る野党の議員たち、国会議事堂に向かって叫ぶデモ隊、一触即発の物々しい状況だ。

何が起きるか分からない不穏な日に東京へは近づきたくないけれど、午後から新宿で会議、夜は永田町でパーティー。横須賀線の車窓から拝む大船観音も、雨にけむって淋しい表情に見える。

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こんなときこそラブソング。iPodで優しい歌詞の曲を聴きながら、心を空想の世界へ連れていく。
別れの歌よりは、これからの歌がいいな。
手を繋ぐとかキスするとか、ぬくもりを感じる歌がいいな。
「愛してる」がたくさん出てくる歌がいいな。
涙よりは微笑みがいいな。
だんだんアップテンポな曲が聴きたくなる。

情勢に流されて複雑に落ち込みそうな気分を、シンプルにリセットするための一時間。
私なりの方法で「大丈夫だよ❤」と、自分に勇気をあげよう。

歴史が変わろうとする中で、戦っているあなたの心にも、大好きな優しい曲がリフレインしますように。
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私が属している某団体は6月が年度末だ。慰労の打ち上げや引き継ぎ会、キックオフパーティーなど、今月から来月にかけては毎晩のように宴会が続く。合間を縫ってパソコンに向かっている最中も頭に歌謡曲が鳴り響いているのは、二日続けてカラオケに行ったせいだろうか。

昨晩は赤坂の一つ木通りにある「島」というナイトクラブに行った。昭和歌謡が全盛だった時代に人気のあった歌手・島和彦さんが経営している店で、お客が生ピアノ伴奏に合わせて喉を披露する、大人のライブバーである。集まったメンバーの大半は演歌とムード歌謡に染まった年代であり、間違ってもAKBなど歌える雰囲気ではない。「赤本」と呼ばれた懐かしい楽譜集から歌を探し、リズムとキーを打ち合わせしてマイクの前に立てば、エロティックな色合いのスポットライトが当たる。

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即席オンステージの伴奏は決して完璧とは言えないが、気付いたのはどんなアップテンポな曲であろうと、大人の味付けがされること。歌っている人の個性と声質が引き出され、「この部分はゆっくりと」、「この部分はゴージャスに」と自己演出しながら、歌詞と共にこれまでの人生が見えてくるのである。歌詞が色変わりテロップで流れる通信カラオケのデジタル音楽に比べると、生ピアノ伴奏は歌本の縦書き歌詞しかない超アナログ。しかしそれが頭の体操になって、知性までもが見えてくる。

🎵コモエスタ・セニョール コモエスタ・セニョリータ 酔いしれてみたいのよ 赤坂の夜🎵のムード歌謡を誰かが歌えば、自然に誰かがダンスを始める。それもエッチなチークダンスではなく、適度にジルバを取り入れた大人の踊り方だ。カラオケ同好会の副会長(俗称チーママ)でありながら私はまだまだ青二才。都心で何十年もの経験を積んできた経営者のオジサマたちに、粋な遊び方のお手本を見せて戴いた夜であった。これが赤坂、美空ひばりも五木ひろしも訪れたというこの店で、演歌と歌謡曲の真髄に目覚めたのは言うまでもない。

作詞をするときは「メロ先(先に曲を貰って歌詞を当てはめること)でお願いします」なんて言っていたのを改め、情感のままに手書きで詞を書いていた時代に戻るべきか。昭和のアナログに回帰したい、甘酸っぱいラムネ味みたいな想いがシュワシュワと胸に溢れている。
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