音楽・楽器・歌・映画
June 06, 2008
最高のカスタマーサービスに感謝
修理に出していた真空管アンプを、午後から引き取りに行ってきた。
明日はニューヨークからのお客様、ジャズピアニストをお迎えするに当たって、リビングに少しでも良いBGMを流すためだ。
トライオードのVP-MINI88。
頂き物の宿命か、オーディオ音痴の私には接続の仕方すらあやふやな機器である。
しかし素人耳(?)にも聴こえてくる音は最高で、ジャズのライブ録音などは目の前で演奏しているような迫力がある。

ところが困ったことに、片方のスピーカーからバッチンバッチンとノイズが聞こえ始めた。
出力管を取り替えれば直るのかなと、真空管が入っていた箱を調べたら、まだ保障期間内である。早速事情を書いた手紙を添えて、製造元のトライオードに交換を願い出た。
感激したのはその翌日。
サービスセンターのNさんから何度も電話を頂き、真空管がいかに繊細な機器であるかの説明と共に、交換の際にバイアス調整が必要だと教わった。
が、悲しいかなチンプンカンプン(;_;)
「わかりました、最良の方法を考えましょう」と、メールでセッティングマニュアルを送付して頂いたものの、やっぱりチンプンカンプン(。_゜) ?
それでもNさんはお客を見捨てない。真空管のノウハウを持っているオーディオ工房に連絡を取り、私が訪ねて行った場合はよろしくとまでお願いして下さったのだ。
車にアンプを乗せ、工房に持ち込んだのが今週の月曜日。
職人気質の店主から、またもや真空管アンプの取り扱いの難しさについて説明を受けた。組み立てキットの場合、中の配線がグチャグチャだと手に負えず、修理代が数十万円にまで嵩むこともあるという。
「で、どれぐらいで直ります?」と恐る恐る聞いたところ、「全国から修理を受け付けてるから、2〜3ヶ月はかかりますよ。」って、それじゃ困る。
土曜日に大切なお客様をお迎えすることを話すと、「よっしゃ!Nさんから依頼もあったことだし、優先的に修理しましょう!」と、快く引き受けてくれたのだ。
かくして今日、家に帰ってきたVP-MINI88。
バイアス調整だけでなく悪いところは全部直して、前より格段に素晴らしい音になった。
自社製品に自信と誇りを持つカスタマーサービスと、こよなくヴィンテージのオーディオを愛する修理工房の連携プレイ。
明日お客様に聴いていただくのは、彼らのハートが裏方で支えているサウンドである。
明日はニューヨークからのお客様、ジャズピアニストをお迎えするに当たって、リビングに少しでも良いBGMを流すためだ。
トライオードのVP-MINI88。
頂き物の宿命か、オーディオ音痴の私には接続の仕方すらあやふやな機器である。
しかし素人耳(?)にも聴こえてくる音は最高で、ジャズのライブ録音などは目の前で演奏しているような迫力がある。

ところが困ったことに、片方のスピーカーからバッチンバッチンとノイズが聞こえ始めた。
出力管を取り替えれば直るのかなと、真空管が入っていた箱を調べたら、まだ保障期間内である。早速事情を書いた手紙を添えて、製造元のトライオードに交換を願い出た。
感激したのはその翌日。
サービスセンターのNさんから何度も電話を頂き、真空管がいかに繊細な機器であるかの説明と共に、交換の際にバイアス調整が必要だと教わった。
が、悲しいかなチンプンカンプン(;_;)
「わかりました、最良の方法を考えましょう」と、メールでセッティングマニュアルを送付して頂いたものの、やっぱりチンプンカンプン(。_゜) ?
それでもNさんはお客を見捨てない。真空管のノウハウを持っているオーディオ工房に連絡を取り、私が訪ねて行った場合はよろしくとまでお願いして下さったのだ。
車にアンプを乗せ、工房に持ち込んだのが今週の月曜日。
職人気質の店主から、またもや真空管アンプの取り扱いの難しさについて説明を受けた。組み立てキットの場合、中の配線がグチャグチャだと手に負えず、修理代が数十万円にまで嵩むこともあるという。
「で、どれぐらいで直ります?」と恐る恐る聞いたところ、「全国から修理を受け付けてるから、2〜3ヶ月はかかりますよ。」って、それじゃ困る。
土曜日に大切なお客様をお迎えすることを話すと、「よっしゃ!Nさんから依頼もあったことだし、優先的に修理しましょう!」と、快く引き受けてくれたのだ。
![]() | ![]() |
かくして今日、家に帰ってきたVP-MINI88。
バイアス調整だけでなく悪いところは全部直して、前より格段に素晴らしい音になった。
自社製品に自信と誇りを持つカスタマーサービスと、こよなくヴィンテージのオーディオを愛する修理工房の連携プレイ。
明日お客様に聴いていただくのは、彼らのハートが裏方で支えているサウンドである。
March 10, 2008
電車の中は音楽教室
発車まぎわの横須賀線。ランドセルを背負った女の子たちが3人駆け込んできた。
ドアの手すりにつかまって、キャッキャとお喋りに花が咲く。
やがて1人が誘うように歌い始めたのは、「カエルのうたが きこえてくるよ♪」
さらにもう1人が追いかける。「カエルのうたが〜・・」
降車駅まで持て余す時間を、輪唱の練習に当てようとしているらしい。
「せーの!」でスタートしたものの、誰かが加わると滅茶苦茶になってストップする。
何度かチャレンジしたあと、諦めて歌が変わった。「静かな湖畔の 森の陰から♪」
「せーの!」
「静かな・・、あれっ!」「しーず・・、キャハハ!」
身体をよじらせて笑う彼女たちの声は大きいけれど、周りは誰も咎めない。
(次こそ成功してね)
ガタンゴトン走る音楽教室で、期待する乗客たちには微笑まで浮かんでいる。
箸が転んでも可笑しい年頃。誰にでもあった幸せな時代。
声たちが電車を降りた後でも、みんなニコニコが止まらなくてむず痒い顔。
その日の午後は調子が狂った。
野良猫が日向ぼっこをしてるのを見れば幸せになる。
ラジオから久しぶりのエルトン・ジョンで幸せになる。
お気に入りの炭酸水をシュワッと開けると幸せになる。
友人から冗談いっぱいのメールがくると幸せになる。
引き出しに溜まった領収書の整理が進むと幸せになる。
要するに今日は、何をしても幸せなんだなと幸せになる。
どうやら私にも幸せの輪唱が伝染したようだ。

ドアの手すりにつかまって、キャッキャとお喋りに花が咲く。
やがて1人が誘うように歌い始めたのは、「カエルのうたが きこえてくるよ♪」
さらにもう1人が追いかける。「カエルのうたが〜・・」
降車駅まで持て余す時間を、輪唱の練習に当てようとしているらしい。
「せーの!」でスタートしたものの、誰かが加わると滅茶苦茶になってストップする。
何度かチャレンジしたあと、諦めて歌が変わった。「静かな湖畔の 森の陰から♪」
「せーの!」
「静かな・・、あれっ!」「しーず・・、キャハハ!」
身体をよじらせて笑う彼女たちの声は大きいけれど、周りは誰も咎めない。
(次こそ成功してね)
ガタンゴトン走る音楽教室で、期待する乗客たちには微笑まで浮かんでいる。
箸が転んでも可笑しい年頃。誰にでもあった幸せな時代。
声たちが電車を降りた後でも、みんなニコニコが止まらなくてむず痒い顔。
その日の午後は調子が狂った。
野良猫が日向ぼっこをしてるのを見れば幸せになる。
ラジオから久しぶりのエルトン・ジョンで幸せになる。
お気に入りの炭酸水をシュワッと開けると幸せになる。
友人から冗談いっぱいのメールがくると幸せになる。
引き出しに溜まった領収書の整理が進むと幸せになる。
要するに今日は、何をしても幸せなんだなと幸せになる。
どうやら私にも幸せの輪唱が伝染したようだ。

December 22, 2007
クリスマスソング三昧だった頃
以前の話になるが、秋からクリスマスにかけては「苦しみマス」の時期が続いていた。
ディナーショーの構成に追われて詞を書き台本を書き、リハーサル、ゲネプロ、それ!本番。
アンコールが終り、カップルや家族連れがほろ酔い加減で帰って行った後、出演者とスタッフで小さな打ち上げをする。
「お疲れさま〜!」「また来年!」「よいお年を!」
ホテルの駐車場で車のエンジンをかければ、カーラジオからはクリスマスソング。
幕張から首都高を飛ばし、湘南の家に着くころにはイブは終わっていた。
恋をする暇さえないクリスマス。
そのくせ切ない歌を書くことだけは、妙な自信があったかな。
下の歌は、クリスマスの資料を漁っていたら発見。
とある大物女性シンガーに書き下ろした、せりふ付きのオリジナルソングです。
70年代映画のワンシーンのように、平凡なアメリカの一家庭をイメージしたのだけれど、作曲は確か前田憲男さんだった記憶があります。

Christmas Widow(クリスマス・ウィドウ)
「我が家のサンタクロースが天国へ行っちゃってから、クリスマスはずっと3人で過ごしてきたわ。
だんだん頼もしくなる子供たち2人と、相変わらずのんびり屋で涙もろい私。
ツリーを飾って、七面鳥を焼いて、苺がいっぱい乗っかったケーキを食べて・・。
どこにでもある普通のクリスマス。--------でも今年は、いつもと違うの。」
子供たちを乗せて 走り出すスキーバス
後ろの窓から 手を振るMy Dear Boy
心配するなよと 生意気な口ぶり
今はもういない あなたに似てきた
初めてのゲレンデ むかえるChristmas Eve
ホームシックと 怪我には気をつけて
見送ったあとに ひとり残る
私 Christmas Widow
街にはJingle Bells 小さなケーキと
陽気なレコード 買って帰りましょう
鏡に向かって ポーズを決めるのは
もうひとり我が家の おませなTeen Age Girl
2時間も前から 待ちかねたチャイムは
エスコート役の 彼氏のおむかえ
初めてのパーティー ときめくChristmas Eve
白いドレスが 弾んで駆けていく
見送ったあとに ひとり残る
私 Christmas Widow
今夜はSilent Night 写真のあなたと
グラスを合わせて 寂しさ祝いましょう
今年からもう一度 ふたりでChristmas Eve
思い出に住む 笑顔と過ごすの
ソファーにもたれて ひとり眠る
私 Christmas Widow
今夜はSanta Claus きっとあなたが
プレゼントを持って 空から降りてくる
今夜はSilent Night そうよあなたが
あたたかい夢を 贈ってくれるでしょう
ディナーショーの構成に追われて詞を書き台本を書き、リハーサル、ゲネプロ、それ!本番。
アンコールが終り、カップルや家族連れがほろ酔い加減で帰って行った後、出演者とスタッフで小さな打ち上げをする。
「お疲れさま〜!」「また来年!」「よいお年を!」
ホテルの駐車場で車のエンジンをかければ、カーラジオからはクリスマスソング。
幕張から首都高を飛ばし、湘南の家に着くころにはイブは終わっていた。
恋をする暇さえないクリスマス。
そのくせ切ない歌を書くことだけは、妙な自信があったかな。
下の歌は、クリスマスの資料を漁っていたら発見。
とある大物女性シンガーに書き下ろした、せりふ付きのオリジナルソングです。
70年代映画のワンシーンのように、平凡なアメリカの一家庭をイメージしたのだけれど、作曲は確か前田憲男さんだった記憶があります。

Christmas Widow(クリスマス・ウィドウ)
「我が家のサンタクロースが天国へ行っちゃってから、クリスマスはずっと3人で過ごしてきたわ。
だんだん頼もしくなる子供たち2人と、相変わらずのんびり屋で涙もろい私。
ツリーを飾って、七面鳥を焼いて、苺がいっぱい乗っかったケーキを食べて・・。
どこにでもある普通のクリスマス。--------でも今年は、いつもと違うの。」
子供たちを乗せて 走り出すスキーバス
後ろの窓から 手を振るMy Dear Boy
心配するなよと 生意気な口ぶり
今はもういない あなたに似てきた
初めてのゲレンデ むかえるChristmas Eve
ホームシックと 怪我には気をつけて
見送ったあとに ひとり残る
私 Christmas Widow
街にはJingle Bells 小さなケーキと
陽気なレコード 買って帰りましょう
鏡に向かって ポーズを決めるのは
もうひとり我が家の おませなTeen Age Girl
2時間も前から 待ちかねたチャイムは
エスコート役の 彼氏のおむかえ
初めてのパーティー ときめくChristmas Eve
白いドレスが 弾んで駆けていく
見送ったあとに ひとり残る
私 Christmas Widow
今夜はSilent Night 写真のあなたと
グラスを合わせて 寂しさ祝いましょう
今年からもう一度 ふたりでChristmas Eve
思い出に住む 笑顔と過ごすの
ソファーにもたれて ひとり眠る
私 Christmas Widow
今夜はSanta Claus きっとあなたが
プレゼントを持って 空から降りてくる
今夜はSilent Night そうよあなたが
あたたかい夢を 贈ってくれるでしょう
November 21, 2007
去り逝く者と残された者
前から気になっていた映画「象の背中」を観に行った。
余命半年の肺癌を宣告されたサラリーマン(役所広司)が、「死ぬまで生き続けたいんです」と延命治療を拒否。残された時間を家族、愛人、思い出の人たちとの交流に費やすというストーリーである。
死期が近づいた象は群れから離れて、孤独な死に場所を探しにいく。
しかしこの映画の主人公が選択したのは、愛する人たちに看取られて息を引き取りたいという「幸せな死」だった。
映画の構成自体はどこに焦点があるのか今ひとつであったが、涙がこみあげてきたのは絶縁していた兄(岸部一徳)が、スイカを下げてホスピスに訪れるシーン。
「なんで若いお前が先なんだ」と泣く兄に、「本当は死ぬのが怖い」と打ち明ける弟。
その間にも着々と、狂った細胞は身体を蝕んでいるのだ。
昨年の6月、私は恋人を癌で失ったが、「死ぬのが怖い」の言葉は一度も聞いたことがなかった。むしろ死の直前まで延命治療の道を探していた。
彼が私の前で涙を見せたのは、傲慢な医師に治療を断られたときの一回きり。
でもきっとこの映画の主人公のように、本音を話せる男同士で(彼にも家業を継いだ兄がいた)号泣したのかもしれない。
象の背中とは、群れを離れる背中から転じて、勝手な解釈をすれば「男の本音」という意味に感じる。
そこには嘘もあれば、図々しくもあり、弱々しく無防備でもある。
愛する女性を悲しませたくないのに、さとられてしまう間抜けな背中でもある。
でもね、わかって欲しいな、涙を越えた女こそ逞しいことを。
貴方が逝ってから2回目の誕生日がくるけれど、素敵な彼に祝って貰いますからね。
きっと喜んでもらえる生き方をしていると、空に向かって胸を張るこの頃である。
余命半年の肺癌を宣告されたサラリーマン(役所広司)が、「死ぬまで生き続けたいんです」と延命治療を拒否。残された時間を家族、愛人、思い出の人たちとの交流に費やすというストーリーである。
死期が近づいた象は群れから離れて、孤独な死に場所を探しにいく。
しかしこの映画の主人公が選択したのは、愛する人たちに看取られて息を引き取りたいという「幸せな死」だった。
映画の構成自体はどこに焦点があるのか今ひとつであったが、涙がこみあげてきたのは絶縁していた兄(岸部一徳)が、スイカを下げてホスピスに訪れるシーン。
「なんで若いお前が先なんだ」と泣く兄に、「本当は死ぬのが怖い」と打ち明ける弟。
その間にも着々と、狂った細胞は身体を蝕んでいるのだ。
昨年の6月、私は恋人を癌で失ったが、「死ぬのが怖い」の言葉は一度も聞いたことがなかった。むしろ死の直前まで延命治療の道を探していた。
彼が私の前で涙を見せたのは、傲慢な医師に治療を断られたときの一回きり。
でもきっとこの映画の主人公のように、本音を話せる男同士で(彼にも家業を継いだ兄がいた)号泣したのかもしれない。
象の背中とは、群れを離れる背中から転じて、勝手な解釈をすれば「男の本音」という意味に感じる。
そこには嘘もあれば、図々しくもあり、弱々しく無防備でもある。
愛する女性を悲しませたくないのに、さとられてしまう間抜けな背中でもある。
でもね、わかって欲しいな、涙を越えた女こそ逞しいことを。
貴方が逝ってから2回目の誕生日がくるけれど、素敵な彼に祝って貰いますからね。
きっと喜んでもらえる生き方をしていると、空に向かって胸を張るこの頃である。
August 16, 2007
人生はサンライズ・サンセット
なんだか眠れないままに夜を明かした。
窓の外が白み、目に痛いような太陽が昇ってくる。
朝に気づいたセミが、静寂を突き破って一番目の鳴き声をあげる。
東京で暮らしていた頃と比べると、空を眺める機会が圧倒的に多くなった。毎日表情を変える天空のキャンバスにカメラを向けては、たぶん一生に一度しかチャンスのない写真を撮っている。
日が昇り、うかうかしていたらすぐに日暮れ。
人生もし80年生きるとすれば、この繰り返しを29,200回も体験していくのだ。その中で泣いたり笑ったり、他人からみればちっぽけな営みでも、2人として同じ人生はないのが不思議だ。地球の営みの中で、今日の空はこれ1回しかないように。
ミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』の主題歌『Sunrise, Sunset(サンライズ・サンセット)』が、今日は何度も心にリフレインする。
Sunrise, sunset.Sunrise, sunset.
Swiftly flow the days.
Seedlings turn overnight to sunflowers,
Blossoming even as we gaze.
Sunrise, sunset.Sunrise, sunset.
Swiftly fly the years.
One season following another,
Laden with happiness and tears.
(日は昇り、また沈む
あっという間に毎日が過ぎる
苗は一晩でヒマワリなってしまう
私たちが見ている間に花開く
日は昇り、また沈む
あっというまに月日が過ぎる
季節は次に移ろい
幸せと涙をどっさりと載せて)
人生最高の日もあるだろう。悔しくて涙が止まらない日もあるだろう。
人はこの世を去る時、回転木馬のように一生を再体験するというのは本当だろうか。
送り火を焚く盆明け。亡くなった友人を送る小さな集まりに、今夜は参加する。
窓の外が白み、目に痛いような太陽が昇ってくる。
朝に気づいたセミが、静寂を突き破って一番目の鳴き声をあげる。
![]() | ![]() | ![]() |
東京で暮らしていた頃と比べると、空を眺める機会が圧倒的に多くなった。毎日表情を変える天空のキャンバスにカメラを向けては、たぶん一生に一度しかチャンスのない写真を撮っている。
日が昇り、うかうかしていたらすぐに日暮れ。
人生もし80年生きるとすれば、この繰り返しを29,200回も体験していくのだ。その中で泣いたり笑ったり、他人からみればちっぽけな営みでも、2人として同じ人生はないのが不思議だ。地球の営みの中で、今日の空はこれ1回しかないように。
![]() | ![]() |
ミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』の主題歌『Sunrise, Sunset(サンライズ・サンセット)』が、今日は何度も心にリフレインする。
Sunrise, sunset.Sunrise, sunset.
Swiftly flow the days.
Seedlings turn overnight to sunflowers,
Blossoming even as we gaze.
Sunrise, sunset.Sunrise, sunset.
Swiftly fly the years.
One season following another,
Laden with happiness and tears.
(日は昇り、また沈む
あっという間に毎日が過ぎる
苗は一晩でヒマワリなってしまう
私たちが見ている間に花開く
日は昇り、また沈む
あっというまに月日が過ぎる
季節は次に移ろい
幸せと涙をどっさりと載せて)
人生最高の日もあるだろう。悔しくて涙が止まらない日もあるだろう。
人はこの世を去る時、回転木馬のように一生を再体験するというのは本当だろうか。
送り火を焚く盆明け。亡くなった友人を送る小さな集まりに、今夜は参加する。
August 10, 2007
真夏の朝にジャズを聴く
各地で猛暑。
今朝は窓を開けたとたんに「ウーッ、やられたあ!」と叫ぶほどの太陽攻撃だ。
お昼前にしてきっと32度は行ってるんじゃないだろうか。
逗子の山の上にしてこの暑さなのだから、繁華街のモアーッとした熱気は推して知るべし。
来週末までは、東京には近づかないことに決めた。
さてアンプの電源を入れて何を聴こうか。
緑を見下ろしながらの朝食で、BGMに選んだのはエラ・フィッツジェラルドの'56〜'66年ヴァーヴ時代の名曲を集めたCD『THE BEST OF ELLA FITZGELALD』。
いつもなら軽めのボサノヴァを選ぶところだけど、ロックでもブルースでもオペラでもなく、今朝はパンチのあるエラのヴォーカルが聴きたくなった。

一曲目の『マック・ザ・ナイフ』は言うまでもなく彼女の十八番だけど、今朝聴きたかったのは『イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン(IT'S ONLY A PAPER MOON)』。
♪ Say, it's only a paper moon
Sailing over a cardboard sea
But it wouldn't be make-believe if you believed in me ♪
(ねえ、これはただの紙の月さ
ボール紙の海の上をセーリングしてる
でも僕を信じてくれたら見せかけじゃなくなるんだ)
『イワシの頭も信心から』みたいなラブソングだけど、今朝に例えるなら『心頭を滅却すれば火もまた涼し』かな。
あの空でギラギラしてるやつは、"IT'S ONLY A PAPER SUN" だと思いたい。
♪ Say, it's only a paper sun
Flying over a cardboard sky
Yes, it just would be make-believe if you believed in me ♪
(ねえ、これはただの紙の太陽さ
ボール紙の空の上を飛んでいる
そうさ、僕を信じてくれたら作り物にすぎないんだ)
ってことにしておこう!
さあてお盆休みがスタート。友人たちから『何してるの?』の問い合わせも多い。
太陽は照っても海のそば。我が家はきっと簡易リゾートホテルとなることでしょう。
今朝は窓を開けたとたんに「ウーッ、やられたあ!」と叫ぶほどの太陽攻撃だ。
お昼前にしてきっと32度は行ってるんじゃないだろうか。
逗子の山の上にしてこの暑さなのだから、繁華街のモアーッとした熱気は推して知るべし。
来週末までは、東京には近づかないことに決めた。
さてアンプの電源を入れて何を聴こうか。
緑を見下ろしながらの朝食で、BGMに選んだのはエラ・フィッツジェラルドの'56〜'66年ヴァーヴ時代の名曲を集めたCD『THE BEST OF ELLA FITZGELALD』。
いつもなら軽めのボサノヴァを選ぶところだけど、ロックでもブルースでもオペラでもなく、今朝はパンチのあるエラのヴォーカルが聴きたくなった。

一曲目の『マック・ザ・ナイフ』は言うまでもなく彼女の十八番だけど、今朝聴きたかったのは『イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン(IT'S ONLY A PAPER MOON)』。
♪ Say, it's only a paper moon
Sailing over a cardboard sea
But it wouldn't be make-believe if you believed in me ♪
(ねえ、これはただの紙の月さ
ボール紙の海の上をセーリングしてる
でも僕を信じてくれたら見せかけじゃなくなるんだ)
『イワシの頭も信心から』みたいなラブソングだけど、今朝に例えるなら『心頭を滅却すれば火もまた涼し』かな。
あの空でギラギラしてるやつは、"IT'S ONLY A PAPER SUN" だと思いたい。
♪ Say, it's only a paper sun
Flying over a cardboard sky
Yes, it just would be make-believe if you believed in me ♪
(ねえ、これはただの紙の太陽さ
ボール紙の空の上を飛んでいる
そうさ、僕を信じてくれたら作り物にすぎないんだ)
ってことにしておこう!
さあてお盆休みがスタート。友人たちから『何してるの?』の問い合わせも多い。
太陽は照っても海のそば。我が家はきっと簡易リゾートホテルとなることでしょう。
July 29, 2007
ディープな鎌倉
暑い。しかも湿気があって暑いのは何もする気にならない。
巨匠の仏頂面でも見に、鎌倉の「THE BANK」に行こうかとテレテレと歩いていたら、由比ガ浜商店街で不思議な店を見つけた。
高級洋食器やアンティークグッズを売っている「ブルー3」という店だ。
どうにも名前が気になる。2店舗並ぶうち、左側の店舗に入って理由がわかった。
奥の棚にはブルース・リーを中心とした格闘技ビデオがびっしりと並んでいる。ここだけ秋葉原、ここだけオタクなのだ。
ウェストバッグを下げてウロウロしている店主に、冷やかしでは悪いので何か買おうかと思ったが、どう探しても買いたいものが見つからない。
こそこそと表に出てテントを見上げれば「格闘科学研究所」の文字。
鎌倉の御成商店街や由比ガ浜商店街は、レトロな宝飾品屋や駄菓子屋、超高級ハンドバッグ屋など、どうやって生計が成り立ってるのか不思議な店が多い。
「THE BANK」でビールを飲んだ後は、またテレテレと歩いて若宮大路へ。
二の鳥居の近くにあるJAZZ&RESTAURANT CLUBの「DAPHNE(ダブネ)」へ入った。ここでは近隣のみならず都内からも一流ミュージシャンがやってきてジャズ・ライブを楽しませてくれる。
今夜の出演はギタリストの直居隆雄氏をはじめとする4ギター&ベースの「Guitar Workshop」というセッション。

写真の中央に立ってる直井氏は、私が「加山雄三コンサートツアー」の構成をしていた頃、一緒に全国を回ったバンドリーダーで、日本作編曲家協会の常任理事でもある。当時に比べたら、すっかり髪は白くなっちゃったけど、持ち前の律儀さはそのままでギターの腕前は益々アップ。
さらに懐かしい顔がもう1人、写真では一番右側に写ってる萩谷清氏は、NHK教育TVの「ワンツーどん!」で新曲を作る際、演奏をお願いしたギタリストだ。
DAPHNEのライブ・スケジュール表を見たら、そこかしこに懐かしい名前がいっぱい。
みんな地道に活動してるんだ〜と、当たり前ながら当たり前じゃないミュージシャン生活を目の当たりにした夜だった。
巨匠の仏頂面でも見に、鎌倉の「THE BANK」に行こうかとテレテレと歩いていたら、由比ガ浜商店街で不思議な店を見つけた。
高級洋食器やアンティークグッズを売っている「ブルー3」という店だ。
![]() | ![]() |
どうにも名前が気になる。2店舗並ぶうち、左側の店舗に入って理由がわかった。
奥の棚にはブルース・リーを中心とした格闘技ビデオがびっしりと並んでいる。ここだけ秋葉原、ここだけオタクなのだ。
ウェストバッグを下げてウロウロしている店主に、冷やかしでは悪いので何か買おうかと思ったが、どう探しても買いたいものが見つからない。
こそこそと表に出てテントを見上げれば「格闘科学研究所」の文字。
鎌倉の御成商店街や由比ガ浜商店街は、レトロな宝飾品屋や駄菓子屋、超高級ハンドバッグ屋など、どうやって生計が成り立ってるのか不思議な店が多い。
「THE BANK」でビールを飲んだ後は、またテレテレと歩いて若宮大路へ。
二の鳥居の近くにあるJAZZ&RESTAURANT CLUBの「DAPHNE(ダブネ)」へ入った。ここでは近隣のみならず都内からも一流ミュージシャンがやってきてジャズ・ライブを楽しませてくれる。
今夜の出演はギタリストの直居隆雄氏をはじめとする4ギター&ベースの「Guitar Workshop」というセッション。

写真の中央に立ってる直井氏は、私が「加山雄三コンサートツアー」の構成をしていた頃、一緒に全国を回ったバンドリーダーで、日本作編曲家協会の常任理事でもある。当時に比べたら、すっかり髪は白くなっちゃったけど、持ち前の律儀さはそのままでギターの腕前は益々アップ。
さらに懐かしい顔がもう1人、写真では一番右側に写ってる萩谷清氏は、NHK教育TVの「ワンツーどん!」で新曲を作る際、演奏をお願いしたギタリストだ。
DAPHNEのライブ・スケジュール表を見たら、そこかしこに懐かしい名前がいっぱい。
みんな地道に活動してるんだ〜と、当たり前ながら当たり前じゃないミュージシャン生活を目の当たりにした夜だった。
July 12, 2007
アルゼンチン映画を見た夜
アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスといえばタンゴにサッカー。
しかしもうひとつ、意外と知られていないのが映画だ。映画が発明された翌年にはアルゼンチンで映画が上映され、世界でも先進国だったという。
昨夜は目黒パーシモンホールで上映された「バレンティン(Valentin)」を見に行った。
1969年、主人公のバレンティンはブエノスアイレスのアパートに住む8歳の少年。
口うるさいお婆さんとの二人暮らしだ。
両親は3歳の時に離婚し、パパは仕事と女に忙しく家には滅多に帰らず、ママはどこへ行ってしまったのかわからない。
人恋しくてたまらないバレンティンの願いは家族を持つこと。しかしパパのガールフレンドはころころと変わり、お婆さんも倒れて世を去っていく。
独りぼっちになったバレンティンはどんな手段に出るか・・、周りに「マセガキ」と言われるキャラクターで愛をふりまく姿を描いた作品だ。
映画の中で、叔父さんが不思議な箱を持って訪れるシーンがある。
「この中に妻と子供が入っているんだ」と驚かせスイッチを押すと、聞き覚えのある声と赤ちゃんの笑い声が流れてきた。そう、カセットテープレコーダーだ。
「壊すなよ、月賦で買ったんだから。自転車6台分の値段がしたんだ。」
泊まっていった叔父さんが帰るときには、お婆さんとバレンティンのメッセージを録音してお土産とする。
今でこそDVDやMDに変わってしまったけれど、我が家には捨てがたいカセットテープが段ボール箱に詰まっている。
初めて書いた原稿がオンエアされたラジオ番組、コンサート用に書き下ろしたテーマ曲、友人の作曲家と作った売り込み用デモテープ・・。
今はこれを聞くための機器がないのに、やっぱり捨てられない。
伸びて絡んでしまったテープを指でくるくると戻すと、あの時・あの場所の思い出が心にリフレインした。
しかしもうひとつ、意外と知られていないのが映画だ。映画が発明された翌年にはアルゼンチンで映画が上映され、世界でも先進国だったという。
昨夜は目黒パーシモンホールで上映された「バレンティン(Valentin)」を見に行った。
1969年、主人公のバレンティンはブエノスアイレスのアパートに住む8歳の少年。
口うるさいお婆さんとの二人暮らしだ。
両親は3歳の時に離婚し、パパは仕事と女に忙しく家には滅多に帰らず、ママはどこへ行ってしまったのかわからない。
人恋しくてたまらないバレンティンの願いは家族を持つこと。しかしパパのガールフレンドはころころと変わり、お婆さんも倒れて世を去っていく。
独りぼっちになったバレンティンはどんな手段に出るか・・、周りに「マセガキ」と言われるキャラクターで愛をふりまく姿を描いた作品だ。
![]() | ![]() |
![]() |
映画の中で、叔父さんが不思議な箱を持って訪れるシーンがある。
「この中に妻と子供が入っているんだ」と驚かせスイッチを押すと、聞き覚えのある声と赤ちゃんの笑い声が流れてきた。そう、カセットテープレコーダーだ。
「壊すなよ、月賦で買ったんだから。自転車6台分の値段がしたんだ。」
泊まっていった叔父さんが帰るときには、お婆さんとバレンティンのメッセージを録音してお土産とする。
今でこそDVDやMDに変わってしまったけれど、我が家には捨てがたいカセットテープが段ボール箱に詰まっている。
初めて書いた原稿がオンエアされたラジオ番組、コンサート用に書き下ろしたテーマ曲、友人の作曲家と作った売り込み用デモテープ・・。
今はこれを聞くための機器がないのに、やっぱり捨てられない。
伸びて絡んでしまったテープを指でくるくると戻すと、あの時・あの場所の思い出が心にリフレインした。
July 02, 2007
海の家でジャズライブ
午後から晴れてきた日曜日に、友人から電話。
材木座にオープンした海の家で、ジャズのライブがあるという。
神奈川県内で一番早く海開きした材木座海岸は、思ったよりは人出が少なめ。
お盆の時期以外は、ウインドサーファーと海水浴客が同じエリアを使用している。
犬を散歩する老夫婦、腰を抱き合うカップル、砂遊びする子供たち・・、ほのぼのした風景だ。
「屋根のない変わった海の家」という伝言を頼りに歩いていくと、あったあった。
木をドーム状に組んだBAMBINIという店から、ギター、サックス、ウッドベースの「ビーチ・サンバ」が聞こえてくる。
バーカウンターでカクテルをオーダーして、ゆったりと並んだ籐の椅子に座ると、まったり感が空から降りてくる。
サンダルを脱いで、さらりとした砂に素足を置く。
ジャズと湘南の海を背景に、軽いキスを交わす大人のカップルが、何の違和感もない午後4時だった。
材木座にオープンした海の家で、ジャズのライブがあるという。
神奈川県内で一番早く海開きした材木座海岸は、思ったよりは人出が少なめ。
お盆の時期以外は、ウインドサーファーと海水浴客が同じエリアを使用している。
犬を散歩する老夫婦、腰を抱き合うカップル、砂遊びする子供たち・・、ほのぼのした風景だ。
「屋根のない変わった海の家」という伝言を頼りに歩いていくと、あったあった。
木をドーム状に組んだBAMBINIという店から、ギター、サックス、ウッドベースの「ビーチ・サンバ」が聞こえてくる。
![]() | ![]() | ![]() |
バーカウンターでカクテルをオーダーして、ゆったりと並んだ籐の椅子に座ると、まったり感が空から降りてくる。
サンダルを脱いで、さらりとした砂に素足を置く。
![]() | ![]() | ![]() |
ジャズと湘南の海を背景に、軽いキスを交わす大人のカップルが、何の違和感もない午後4時だった。
June 05, 2007
さよならハネケンさん
羽田健太郎さんが亡くなった。
天才的なピアニストにして飾らない人柄。いつもどうやって人を笑わせようかと、眼鏡の奥で人懐っこい眼がニコニコしている人だった。
羽田さんと初めてお仕事をさせて頂いたのは、加山雄三さんのコンサートツアー。
「父に捧げるピアノコンチェルト」という、加山さんが12年の歳月を費やして作った大楽曲を誰に弾いて貰うかということになり、真っ先に上がったのが羽田さんの名前だった。
スコアを渡された羽田さんはグランドピアノの前に座ると、ミスタッチひとつなく弾きまくる。それが初見だと知り、関係者一同ぽかりと口を開けて感動するのみだった。
酒豪のピアニストといえば前田憲男さんも有名だが、いつだったか渋谷の喫茶店でアレンジの打ち合わせをしたとき、真昼間からビールをオーダーするのに驚いたことがある。
「先生、昼間から飲んじゃうんですか?」
「俺なんかマシな方だよ。ハネケンはピアノの蓋を開けると、中に酒瓶がゴロゴロしてるんだから」
上には上がいるものである。
4月ごろまではピンピンしてたという羽田さんの命を奪ったのは、肝細胞がん。
まだ58歳だというのに、若さが癌の進行を早めたのだろうか。
まだ早すぎる。でも家族でも親友でも止めきれない運命があることを、私も1年前に体験して涙した。
羽田健太郎さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
天才的なピアニストにして飾らない人柄。いつもどうやって人を笑わせようかと、眼鏡の奥で人懐っこい眼がニコニコしている人だった。
羽田さんと初めてお仕事をさせて頂いたのは、加山雄三さんのコンサートツアー。
「父に捧げるピアノコンチェルト」という、加山さんが12年の歳月を費やして作った大楽曲を誰に弾いて貰うかということになり、真っ先に上がったのが羽田さんの名前だった。
スコアを渡された羽田さんはグランドピアノの前に座ると、ミスタッチひとつなく弾きまくる。それが初見だと知り、関係者一同ぽかりと口を開けて感動するのみだった。
酒豪のピアニストといえば前田憲男さんも有名だが、いつだったか渋谷の喫茶店でアレンジの打ち合わせをしたとき、真昼間からビールをオーダーするのに驚いたことがある。
「先生、昼間から飲んじゃうんですか?」
「俺なんかマシな方だよ。ハネケンはピアノの蓋を開けると、中に酒瓶がゴロゴロしてるんだから」
上には上がいるものである。
4月ごろまではピンピンしてたという羽田さんの命を奪ったのは、肝細胞がん。
まだ58歳だというのに、若さが癌の進行を早めたのだろうか。
まだ早すぎる。でも家族でも親友でも止めきれない運命があることを、私も1年前に体験して涙した。
羽田健太郎さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。




















