そこに居るだけで役に立つこと

広告

春が近くなると我が家の玄関先には水仙の花が咲き、清楚な香りをプレゼントしてくれる。昨夜の雨に打たれてうつむいているけれど、毎年同じ場所で変わらずに咲く野生の花は、逞しさの美そのものだ。

suisen
それに比べて人間ときたら、些細なことで一喜一憂。心を揺らす原因のほとんどが人間関係によるものだ。誰かのために良かれと思ってしたことが独り相撲であったり、「ありがとう」の一言をもらえずに落ち込んだり、結局は自分のお節介が招いた結果だと反省する。お節介というよりは「驕り」と言ったほうが合っているかも。イライラしたあげく傷つけてしまうのは、相手じゃなくてお為ごかしの自分なのだ。

「自分が他人にしてもらいたいことは、他人にしてやるなかれ。他の人の趣味が自分と同じでないかもしれない」は、イギリスの劇作家 バーナード・ショーのことば。

「相手に良かれと思ってやることと、相手がして欲しいと思っていることが一致することは稀なんだ。皆あまり気付いてないけどね」は、吉野朔実の漫画『いたいけな瞳』に出てくることば。

いちばんいいのは何かをしてほしいとお願いされるまで、口を閉じていることだろう。その人の難題を解決する方法を知っていたとしても、長屋のおばちゃんみたいに隣りの夫婦喧嘩に身を乗り出してはいけないのである。つい口に出た一言が自分も相手も傷つける可能性が高い。

人から必要とされたいなら、ただそこに居ればいい。
野生の水仙みたいに、毎年同じ場所で咲いていればいい。
誰かを救うことに、自分が主導権を取る必要はない。

人間は犬ではなく、猫のように生きればいいのかなと思うこの頃。先月はインフルエンザで苦しんだけれど、治った今でも与六は隣りで「勝手に」寝てくれる。
ところがスヤスヤ寝息を立てているところに、可愛いねと頭を撫でると、「うるさいっ!」と噛みつかれ睨まれる。

yoroku2
歳ばかり取っているのに猫よりも役に立たない飼い主は、もしかしたら猫に飼われているのかも。今日から名前は与六ではなく、親分と呼ぼうかと考えている。

コメント

// この部分にあったコメント表示部分を削除しました
タイトルとURLをコピーしました