少年少女に戻る色

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昨日は逗子の釣り宿で、恒例になった釣果を味わう会に参加した。甘鯛につられて飲み過ぎて、今朝は久しぶりの二日酔いである。午後から都内で会議があるので、ガブガブと水を飲んで外出の支度をした。

寒冷前線が通り過ぎていくのか、重たい曇り空。コートも要らなかった昨日とはうって変わって、頬に当たる風はひんやりと痛い。

バス停まで歩く途中、小さな変化に気づいた。冬のあいだ咲いていたツワブキの花が終わって、名前を知らない野の花に「黄色」がバトンタッチされている。もう3月は目の前だ。

yellow

ちょっとだけ遅刻しよう。急いで家に引き返し、クローゼットを開けてハンガーをかき分けた。選んだのはピンクのセーター。恋の始まりみたいな淡い色合いが気に入って、衝動買いしたまま、まだ袖を通していない。

もうこの歳では恥ずかしいかな。それでも黒からピンクに着替えると、顔色が急に明るくなった。ピンクは若返りの色。実際に血行が良くなり、新陳代謝が良くなる効果もあるそうだ。髪をポニーテールにして口紅を引き直し、鏡の自分ににっこり笑いかけた。

誰かと手をつないで、畑一面に咲いたレンゲや菜の花を見に行きたい。ひらひらと蝶のように咲くコブシの花ももうすぐだ。わくわく、何だかワクワク。

確信がないのに、嬉しいことが起きそうな予感に胸を膨らませたティーンエイジの私は、心の中にまだ住んでいる。少年少女に戻る色を春が教えてくれた。

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