私が属している某団体は6月が年度末だ。慰労の打ち上げや引き継ぎ会、キックオフパーティーなど、今月から来月にかけては毎晩のように宴会が続く。合間を縫ってパソコンに向かっている最中も頭に歌謡曲が鳴り響いているのは、二日続けてカラオケに行ったせいだろうか。

昨晩は赤坂の一つ木通りにある「島」というナイトクラブに行った。昭和歌謡が全盛だった時代に人気のあった歌手・島和彦さんが経営している店で、お客が生ピアノ伴奏に合わせて喉を披露する、大人のライブバーである。集まったメンバーの大半は演歌とムード歌謡に染まった年代であり、間違ってもAKBなど歌える雰囲気ではない。「赤本」と呼ばれた懐かしい楽譜集から歌を探し、リズムとキーを打ち合わせしてマイクの前に立てば、エロティックな色合いのスポットライトが当たる。

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即席オンステージの伴奏は決して完璧とは言えないが、気付いたのはどんなアップテンポな曲であろうと、大人の味付けがされること。歌っている人の個性と声質が引き出され、「この部分はゆっくりと」、「この部分はゴージャスに」と自己演出しながら、歌詞と共にこれまでの人生が見えてくるのである。歌詞が色変わりテロップで流れる通信カラオケのデジタル音楽に比べると、生ピアノ伴奏は歌本の縦書き歌詞しかない超アナログ。しかしそれが頭の体操になって、知性までもが見えてくる。

🎵コモエスタ・セニョール コモエスタ・セニョリータ 酔いしれてみたいのよ 赤坂の夜🎵のムード歌謡を誰かが歌えば、自然に誰かがダンスを始める。それもエッチなチークダンスではなく、適度にジルバを取り入れた大人の踊り方だ。カラオケ同好会の副会長(俗称チーママ)でありながら私はまだまだ青二才。都心で何十年もの経験を積んできた経営者のオジサマたちに、粋な遊び方のお手本を見せて戴いた夜であった。これが赤坂、美空ひばりも五木ひろしも訪れたというこの店で、演歌と歌謡曲の真髄に目覚めたのは言うまでもない。

作詞をするときは「メロ先(先に曲を貰って歌詞を当てはめること)でお願いします」なんて言っていたのを改め、情感のままに手書きで詞を書いていた時代に戻るべきか。昭和のアナログに回帰したい、甘酸っぱいラムネ味みたいな想いがシュワシュワと胸に溢れている。