営業センスのない田舎者のメリット

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私の心臓には毛の生える土壌がない。勇気を振り絞って自分を売り込もうとしても相手が無反応だったとき、「あっ、今のは何でもないんです。ところで・・」と、話を摩り替えるビビり具合は、絶対に営業には向いていないことを自覚する。しかしその控えめさが功を得ることを何度も体験してきた。逗子の漁港町に住む田舎者が、日本の先進業界でトップに君臨する方々から興味を持って戴くという有り得ない恩恵に預かってきたのである。

例えばその1。投資プロジェクトを売り込みたい元彼から「俺のマネージャーをやってくれ」と頼まれ、著名企業のトップたちに接見して回っていたころ。会議後の宴席で酔っ払い活気付いて逗子をアピールした結果、「行ってみたいな。案内してくれるか?」と地魚グルメツアーの企画を仰せつかる。電車の切符の買い方すら分からないお偉方をたった3坪の立ち飲み屋にご案内したら大喜びされ、その後もツアーを重ねているうちに元彼は失職し、企業トップとは「ちゃん」で呼び合う慣れ具合になってしまった。それでも営業する度胸はないのでずっと飲み友達のままだが、困った時には必ず助けてくれるとの言葉を戴いている。社長も漁師もフリーターも公平に集う場所からスタートしたのだから、目線は同じ高さだ。

例えばその2。私は世界に120万人の会員を持つボランティア団体の会員に属している。マイクロソフトのビル・ゲイツは組織が掲げるポリオ撲滅運動に賛同し、毎年3億5千万ドルもの寄付を続けているほど大きな団体だ。その末端の1クラブに入会するとき先輩から言われたことは「3年を過ぎるまで営業活動をしてはいけない」「自我を捨て奉仕しなさい」だった。奉仕って何?と、意味など分かりようもない自分。例会場のホテルはクリスマスシーズンにはカップルが長蛇の列を作る有名スポットにあり、時には三ツ星レストランでの食事会になったりする。私なんて、私なんて・・「花子とアン」の女学校状態である。

そして今は入会してから8年目。WEB制作というデジタル系職業に基づき奉仕したことで会長賞を戴き、その上を行く東京都の下半分95クラブ・会員数5,000人をまとめる地区でIT関連の権限を任せて戴いている。来年にはこの上ない役職を戴くにあたりビビって辞退したところ、「貴女じゃなきゃ駄目なんです」とのお言葉を戴き、どう返答したら良いものか頭上にはハテナマークの雲が浮かんでいる状況だ。

例えばその3。付き合いのある企業がWEBサイトを作ろうとして、半世紀に渡り信頼のある取引先に依頼したところ、3,000万円もの費用を要求されたのである。検証のために何度も呼ばれた会議で不正当さを追求した結果、支払う金額はたった100万円になった。大手企業と名刺交換のとき鼻で笑われた末が、象とアリとの対決でこちらの勝利。私はちっぽけな会社経営者であり、本質はデジタルの1か0かを打ち込む技術者であり、おしゃれに振る舞えない逗子の田舎者。打ち合わせにはスーツで行かず、コットンのシャツとサンダルで参加する。クローゼットにはエルメスもグッチもマックスマーラも吊下がっているけれど、それを着ていくのが田舎者であり、私が目指すものではないと思っていた。ビシッと高いスーツで決めた大企業に対し、「ボロを着てても心は錦」をトライした好結果である。

3連休の最後、明日は友人たちから葉山のビーチでのBBQに呼ばれている。みんな何を着てくるのかなと思いつつ、どれだけ格好いい田舎者になれるかが勝負。仕事ダイエットで痩せて良かったとウエストが楽になったパンツを履いて、ラメのペディキュアをして、明日の晴天を楽しみにしている。集まる仲間たちの自然体なライフスタイルは、ビル・ゲイツに勝るとも劣らないと、逗子の田舎者を代表して宣言するとしよう。

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