居酒屋のカウンターで肩を並べる飲み仲間。ある大手企業の役員から電話があった。
「君の友だちからセールスメールが来たんだけど、あれ何? 返事しなくちゃダメ?」
メールの内容を聞くまでもなく、「返事しなくちゃダメ?」で、言いたいことが想像できた。彼のデスクには、ハエ叩きが欲しいほどに売込みがやってくる。私もその同類かと疑い、グルになってないか訊ねてきたのだろう。「ご判断はお任せします」と、ボールを渡すような対応で電話を切った。

ふうんと頬杖をつきながら、私には絶対に出来ない職種を思う。それは営業。ずば抜けたノウハウを持つ天性の営業マンなら、今からでも弟子入りしたい。しかし米つきバッタと揶揄されるスタイルは、鼻を膨らませて作り笑いをし、名刺にハハーッと頭を下げ、ヨイショする雑談をし、時おり自慢話も挟み、鞄の中から次々に資料を取り出し、早口で「おっしゃるとおり」を連発する。

私は営業マンを主人公にしたシナリオは書ける。しかし自分ではそのシナリオを演じる勇気がない。自意識が強いのか臆病すぎるのか、本来の自分を引っ込めてハンサムスーツを着ることが出来ないのだ。パーティー券を売るのも苦手、mixiでマイミクにアプリの協力をお願いするのも苦手、ましてや自分の宣伝なんて・・・。そんな私を見るに見越して周りが手を差し伸べてくれるので、なんとか食いつないできた果報者である。

今日のライブドアBlogのピックアップテーマは『他人からの信用度は何点ですか?』
90点ぐらいかなと自負しつつ不安なのは、回りまわって信用度が下がること。私を飛び越えて営業をしかける友人がきっかけで、「ブルータスお前もか!」になるのは忍びない。しかし最も信用できないのは、そんな友人と付き合う自分だ。

人はちゃんと見ている。居酒屋の店主に「自分を全部見せちゃダメだよ。付き合う相手は選びなさいよ」と叱られるたび、頭が下がる。周りの方が私の性格をよく知っていることに感心し、修行が続く日々である。