人を見るには箱より中味

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「大学はどちらでしたか?」と聞かれると、即座に返答できない自分がいる。私は美智子妃が卒業された女子大の出身なのだが、良家子女のレッテルを貼られることがとても嫌だった。YEARBOOKという卒業アルバムは、お見合い写真集として高い値が付くとの噂があり、まるで家柄付き商品みたいなブランド志向に腹が立ったものだ。

同様に、頭脳のブランド志向なら東大か。2月25日のYOMIURI ONLINEニュースに、東大出身と偽って家庭教師や架空の投資話で約1億4,000万円もの大金を騙し取った男の記事が載っていた。実際は高卒なのに、戸別訪問で学習教材を売った主婦らに対し、「東大卒の私が教えれば子どもの成績が伸びる」と嘘を言い、年間の授業料などとして1回数十万を受け取っていたという。

詐欺男は逮捕されて当然だが、騙される方にも非があるような。東大に行った人間は信頼できるエリートであると錯覚していないだろうか。中には思い上がりも甚だしい、性格に問題ありの人物だっているのだ。

それは大学1年の前期だった。東大に合格した友人から電話があり、同じクラスの男子たちと合コンしてくれないかという申し出である。とりあえず会って話を聞くことにしたのだが、何と待ち合わせは渋谷のハチ公前。緑のハンカチを持って立っているという。

いやーな予感を抱えて大混雑の渋谷に行くと、見間違いであることを願った。牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけた男が、別珍のスーツを着て直立不動。緑のハンカチにコーディネートしたのか、緑の靴下まで履いている。駅構内の喫茶店で話を聞くには聞いたものの、二言目には東大を口にするプライドの高さだ。「他の大学を当たってください」とお断りしたら、「コーヒー代は割り勘にして」だって!? どこまでもイケてない勘違い男であった。

日本人のブランド信仰は男性よりも女性の方が多いという。バッグや服だけでなく、「息子の嫁には良家の子女」「この子の家庭教師には一流大学の出身者」と、ざあます志向の母親たちは人間もブランドで見たがる。しかし本物のエルメスの箱に入っていようと、中味は偽物ケリーってこともあるのだ。大事なのは箱より中味。上手い言葉や見かけに騙されないよう心の目を磨くことは、幾つになっても必要なレッスンである。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    そうや!そうや! 中身や! べらんめえ~!

  2. marie より:

    本当に、そのとおりです!
    いくらブランドが良くても中身が伴わないとダメですね。
    いいものを身に付けてもその人に似合わないと安く見えるのと同じだと思います。
    中身が良ければノーブランドでもジャスコブランドでも高く見えるものですよね。
    ブランドで外見を固める前にそれに見合った中身を作ることが大事ですよね?
    人として、どうか??
    それにしてもコーヒー代を割り勘にしてと言う男ってどうよ?って感じですね。
    奢ってもらう気はないけれど、普通なら「ここは俺が」と言うのが礼儀ですよね。
    あと、女性の扱いをまるでわかっていない男性っていますよね。
    私の友人が東京に出張に行き、帰りの新幹線を上司と遅れてしまい、友人(女性)が缶コーヒーを買ってあげたのに、お礼も何も言わなかったとか・・・
    普通なら女性にコーヒーを買わせては申し訳ないとか言いいますよね。
    こんな男では、課長と言う偉いブランドを着てても、女性にはモテないですよね。

  3. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    おっ、江戸っ子ですね。今日のお供は徳利とお猪口でしょうか?

  4. yuris22 より:

    marie様

    部下にコーヒーを買ってもらって「ありがとう」の一言もないとは、イケてない男ですね。実るほど頭を垂れる稲穂かな。課長にしてそこまで威張っているのでは、出世は難しいでしょう。

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