昭和34年1月から放送が始まったETV(NHK教育テレビ)が、今年で放送開始50年を迎えた。これまで放送された代表的な200番組の中から、もう一度見たい番組のリクエスト投票を募っている。
5月8日更新の総合ランキングを見ると、第1位は「たんけん ぼくのまち」、続いて「天才てれびくん」「にこにこ、ぷん」・・、第10位には驚くことに「ふえはうたう」が入っている。

これは平成元年4月にスタートした小学校3年生向けのリコーダー(たて笛)の学習番組。手元にある「ふえはうたう'90」の楽譜集を開くと、チーフディレクターのコメントが載っている。
「『ふえはうたう』では、教室の子どもたちの興味を惹きながら、リコーダーに親しみを持たせるように、リコーダー界の第一人者、吉沢実さんに出演をお願いし、上柴はじめさん、織田ゆり子さんなど第一線の作曲家、作詞家の協力を得て、どんな子どもでも喜んで、リコーダーを手にしたくなるような歌や、練習のためのオリジナル曲の開発に努めています。音楽は楽しくありたいと思います。」
(NHK教育テレビ「ふえはうたう'90」より引用)

ふえはうたう


私はこの番組に構成・作詞で参加したのだが、先日(5月7日)のアンコール放送を見て、たった15分間ながら懐かしさに感無量だった。出演者を選ぶオーディションに始まって、選ばれたお兄さん・お姉さんを何というニックネームで呼ぶかの会議など、ひとつひとつが朧気ながら思い出された。
お姉さんの村上雅美さんは「まみちゃん」、お兄さんの関俊彦さんは「としちゃん」にしようとしたが、当時のアイドル田原俊彦さんとバッティングしてしまう。そこで「としくん」にしましょうと発言したのがすんなりと決まり、関さんこと「としくん」は以後10年にも渡って小学生たちの人気者となった。

アンコール放送では、ソプラノリコーダーという名前を覚えるための初回「たのしいリコーダー(1)」が放送されたのだが、ピッピロピー♪のテーマソングが始まった途端に、心は90年代に飛んだ。
出演者たちが喋る台詞は、私が原稿用紙に書いた台本そのまんまで、どうやって子どもたちにリコーダーに興味を持たせようかと作った曲「ふえのはじめのうた」では、今では確実に30歳を超えている東京放送合唱団の子どもたちがお兄さんお姉さんに加わって、山田卓さんの振り付けで歌いながら踊っている。

リコーダーで出せる音の上達度にあわせて、ラとシで遊ぶ曲「またあそぼ」、ソラシドだけで吹ける曲「ソラシドマーチ」、ミレドの練習曲「赤いやねの家」、高いミが吹けるようになった最終回は「あしたはだれに会えるかな」など14曲の詞を書き、番組中で使う歌の選曲(外国曲の時は訳詞)もして、いつも五線譜が隣にある毎日だった。

今回の放送を懐かしんだのは私だけでなく、視聴者からの反響も凄い。「ふえはうたう ブログ」で検索すると、当時どれだけ沢山の子どもたちが楽しみにしてくれていたかを改めて知った。ありがとうの気持ちでいっぱいである。
出来れば全編もう一度見たいと思いながら、お楽しみはちょっとだけの方が余韻が長いのだと、幸せなセンチメンタルに浸る今週末であった。