文章で稼ぐ贅沢

作詞からプログラミングまで、文字を並べて生きる物書きのひとりごと @ 逗子

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およそ20年ぶりに、四方八方からの仕事に忙殺されている。先月の終わりからは、空が暗いうちに寝たことがなく、起きている時間 = 働いている時間だ。

仕事の打ち合わせ以外で誰かと会う暇は持てないので、心配した友人たちからは「無理しないでね」との励ましメッセージが届く。大丈夫! 身体も心も健康そのもので、頭の先から爪先までエネルギーがみなぎっている状態なのだ。

こんなにハイな気分になれるのは、好きなことをやっているからに他ならない。どうして寝なきゃいけないんだろうと、1日が24時間しかないことが恨めしくなる。嫌な仕事が続いたときは激痩せしたのに、今回は体重も変わらないのが不思議。

学生時代、編み物や洋裁が楽しくてたまらなかった私は、完成するまで寝ないことがよくあった。セーターを編み始めて、もう少し、もう少し・・・と言っているうちに夜が明ける。仕方なく学校へ行くけれど、授業が終わればすっ飛んで帰って、夕食もそこそこにセーターの続きに没頭したものである。

パソコンの自作に励んでいた40代も同じ。失敗しては一からやり直し、3日間かかって組み立てたマシンは、抱いて眠りたいほどだった。

その頃と今とが似た状態。趣味が仕事になってお金が入ってくるようになると、欲と向上心が湧いてくる。もっと知識を増やしたい、もっとスキルをアップしたいと、昨日の自分がライバルになって競争しているのだ。

flower

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梅雨に入って今年も、書斎の下にはオレンジのノウゼンカズラが咲き、紫のアガパンサスがポンポンと開き始めたけれど、花より団子、団子より仕事。長いあいだ忘れていたモチベーションが戻ってきて、脳内麻薬みたいな万能感をくれるのである。

ずいぶん人生を遠回りして、やっと背中を押してくれるものが分かった。それは「生産性」。
仕事でも趣味でも遊びでも、生産性のあることが好き。人間関係を仕切りなおしたのはそこに理由がある。
いつも同じ顔ぶれで飲んで騒ぐだけの集まりに参加するのがつまらなくなり、ワクワクすることを仕事に求めるようになった。ただし引きこもりとは違い、アンテナはいつも社会の新しい動向を見張って、次のハードルをもっと高めたいと思っている。

生産性とは個性を磨くこと。自分をうんと好きになれるように、やり残したことを後悔しないように、今年の後半は夢のセーターを、実現まで編み続けるつもりである。
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短気は損気と分かっていながら、どうにも腹の虫がおさまらないことがある。それは60代半ばの、現役をリタイアした男性から届いたメールだ。

都内での仕事帰りに寄ったちょい飲み屋で、隣にいたオヤジと話が弾み、名刺を渡してしまったのが失敗のもと。どんな男性がタイプかを聞かれ、「幾つになろうと、現状に言い訳するより、未来を夢見る男性が好き」と言ったことに対する反論が、わざわざメールで届いたのである。話を途中で切り上げて、帰ってしまった私も悪いのだけれど、この手の粘着質なタイプは独自な論理展開をする。

「現在の一般社会情勢の認識を経験者として申し上げます。夢は大事ですよ。ただ、夢を見てても、現実から脱出できるわけではないですからね。 現実に立脚して、夢の現実化に何が必要か?その手段と方策を考えなくてはなりません。その意味で、子供の夢と大人の夢は違います。大人になって、子供の絵を描けるのは天才だ!といわれますが、大人になると現実に目が行ってしまうので、絵がつまらなくなるということなんだと思います。」

なるほどね、分からないでもない。しかし、子どもみたいな夢を見る男性が好きだなんて一言も言ってないのに、なぜ一人で暴走しているのか不思議だ。大人になって絵がつまらなくなる言い訳にしか聞こえてこない。

しかもこのオヤジ、私の生活にまで難癖をつけてきた。住んでいるマンションの名前を知っているらしく、他人に貸せとか、早く売却して小さな部屋に引っ越したほうがいいとか、「お子さんとも相談されて」の尾ひれまで付いている。どうして私に子どもがいるって、勝手に決めつけるんだろう。

こうして腹を立てているとき、偶然にも「マンスプレイニング(Mansplaining)」という言葉を知った。man(男)とexplain(説明する)を掛け合わせた混成語で、男性が女性を見下したり、上から目線で何かを解説することをいう。知的ハラスメントと言ったほうが分かりやすいだろうか。

マンスプレイニングは私が思うに、サラリーマンを定年退職した年金暮らしの男性に多い。会社では部長だったかもしれないが、リタイアすればただのオヤジ。家庭では奥さんに疎ましがられる濡れ落ち葉だったりする。

80歳になろうと現役でバリバリ稼いでいる経営者には、この手のマンスプレイニング老人はいない。相手が若い女性であっても真摯に意見を聞き、上手に流し、上手に褒め上げることに慣れている。見た目も実年齢より若く、加齢臭など漂わせていない。

誰に何を揶揄されようが、今の住まいは自分で買ったもの。手放す気なんて毛頭ない。
家に戻って玄関のドアを開けると、マットの上で与六がお腹を出して待っている幸せ。リビングの灯りをつけて、テレビのスイッチを入れるときの安堵感。この環境を維持するために、よーし頑張ろうと徹夜するのも、自分が好きでやっていることだ。

yoroku

room

メールに返事は出していないけれど、イライラした分だけ人生の大切な時間をロスした。一日の大半を向かい合っているディスプレイの上には、私の夢を書いた紙を額縁に入れて飾ろう。腰が曲がったおばあちゃんになろうと、明日はもっと良くなることを夢見る自分でありたい。
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