July 20, 2008

携帯どうぞ煙草どうぞの横須賀

湘南の居酒屋巡りが少々マンネリ化してきて、最近興味を持ち始めたのは横須賀。
逗子のレストランバー「海音」のオーナーに情報を求めると、「前ほど面白い店はなくなったよ」と言いながらも、鳥を一羽丸ごと揚げたメニューがある店を紹介してくれた。

京急線・横須賀中央駅の近くにある「やきとり忠孝(ちゅうこう)」だ。
土曜日の夕方6時は既に満席。モクモクと煙が上がる焼き台の近く、カウンターに陣取って4人テーブルが空くのを待つ。

目に付いた注意書きが気に入った。
「携帯電話はどんどんおかけ下さい。煙草はどんどんお吸い下さい。ただし、寝ないで下さい。」
レトロな庶民性が滲み出た店内では、ヤンキー風なスタッフたちがきびきびと働いている。

忠孝忠孝2面白い注意書き


焼き鳥メニューの中で最初のお勧めは「満州焼」。羊肉に濃厚なタレがたっぷりで、生ビールにぴったり。トリネギ、カシラ、シロ・・と小皿が並び始めた頃に、黒ホッピーを注文する。

恥ずかしながらホッピーの飲み方は、大船のホルモン焼屋で最近知ったばかり。瓶から半分だけグラスに注いで後は取っておく。飲み干したら「ナカください」と頼んで残りのホッピーを注げば、二杯ぴったりいけるんだな。オヤジ道を極めていく自分が可愛くなったりする。

そして今日のメインは1日5食限定の「唐揚げ大王」。ナイフとフォークが添えられたダイナミックな鳥の丸揚げに、思わず皆で拍手して写メ大会になる。3〜4人前というだけあって食べ応えがあるが、味はあっさり目なので胃には優しい。
付け合せに頼んだもう1皿は「キャベツ焼」。四角く切ったキャベツを串刺しして焼いているのが、香ばしくでシャキシャキだ。

焼き鳥からあげ大王キャベツ焼


酔っ払ったあげく、小腹に入れたくなるのはラーメン。「近くに美味しい店はありませんか?」と聞いたところ、なんと店長が先導して「壱六家」まで案内してくれた。磯子に本店がある横浜系トンコツラーメンは意外とあっさりしているので、ついつい完食。

壱六家


最後はドブ板通りのクラブに乱入して、ブラザーたちに混じりながら踊りまくって運動したものの、翌朝の体重計が怖すぎる。
それでも私たち飲み仲間、「楽しかったね」の同報メールには「次はどこに行こうか?」の結びを忘れない、懲りない面々である。



July 18, 2008

男前たちに出会った日

オレンジ色のノウゼンカズラが満開になり、温度計が30度を越える7月。
普段は目立たない男たちが惚れ惚れするぐらい男前になる時がある。年に一度やってくる夏祭りのシーズンだ。
スーツやユニフォームを脱いで着替えるのは、半纏、たぼシャツ、股引、草履の出で立ち。神輿を担いで飛び散る汗は、上昇したアドレナリンの匂いだ。

先週の土曜日から始まった我が家の近くにある氏神様、小坪須賀神社の祭礼。
回ってくる山車のトンツクトンツクという太鼓の音に誘われて、本祭りを見に行った。

小坪漁港前2008天王祭


小坪漁港前の広場では子供たちが金魚すくいに興じ、提灯を下げた山車がスタンバイしている。そんなファミリーサイドに対して、男衆は神輿の周りへ。担ぎ棒の下に肩を入れて精神を集中する。
「どっこい担ぎ」と言われる湘南の担ぎ方は、甚句が入った後に「そ〜りゃ! そ〜りゃ!」の掛け声で全員が大きくジャンプ。ゆっさゆっさと揺れる神輿は、神の霊を揺り動かす激しさだ。



そして今週水曜日は逗子駅近くにある亀岡八幡宮の本祭り。
のどかな商店街は人・人・人の歩行者天国になって、各商店の前にはビールや焼き鳥などを売る元気な掛け声が飛び交っている。

飲み仲間である某スーパーの店長が祭りの会長ということもあり、夕方から歩道にしゃがんで待ち構えた。
ワーッと沸き起こる歓声の向こうからは、丸一日かけて街中を回ってきた神輿の灯。担ぎ手はもちろんのこと、続く山車に乗った子供たちもヒーローに見える。

市役所横神輿山車2


東京の大きな祭りに比べたら、湘南のささやかな手作りの祭りだけれど、知っている顔たちがそこかしこに見つかることの嬉しさはこの上ない。
逗子に住んで良かった!ブログはサボったものの、熱気の中で暮らした貴重な数日間だった。




July 15, 2008

人身事故が発生しております

今このブログを書いているのは停車している横須賀線の中。
大船駅で人身事故が起きたので、運転を見合わせているという。

列車の増結が行われるのでほぼ間違いなく座れる逗子駅も、今日はラッシュ状態。
うだるような暑さにうんざりした常客たちが、まだ電車の中の方が涼しかろうと、吊革につかまってアナウンスに耳を傾けている。

「只今お客様の救出活動をしております。」
「新しい情報が入りました。救出活動は終了して、このあと係員による電車の点検と、警察による現場検証が行われます。」
現場検証か。まだまだ時間がかかりそうだと、周りから溜め息が漏れる。

30分待ってやっと動き始めた。
大船駅に近づくと「前の電車が車庫に入る作業を行っております。信号が青になるまでお待ち下さい。」でまた停車。
クーラーのサーモスタットか、グワ〜ングワ〜ンと地響きのような不快音が天井から伝わってくる。眉間に皺を寄せた顔が増えていく。

これだけの人々に迷惑をかけるとわかっていても、無くならない列車への飛び込み自殺。
ふらふらっと死神の誘惑に吸い寄せられていくのか、誰も救ってくれなかった絶望を火花と散らして多人数に復讐したいのか、それは当事者にしかわからない。

「電車が遅れて大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。」
人身事故は駅員のせいではないけれど、飛び込みや転落防止策を打ち出すことは出来ないのだろうか。
車掌が乗っていない地下鉄など、最近の駅では線路とホームを隔離する柵が設置されているのに、JRの駅では不可能なのだろうか。

朝夕のラッシュ時には溢れんばかりの人々がホームの端を歩き、電車がけたたましい警笛を鳴らす。ヒヤリとする瞬間のはずが、たぶん大丈夫と慣れていく。

パンパンに膨らんだエンドウ豆のさやのように、沢山の人生を詰め込んで走る電車。
派手な広告宣伝費をばらまくより先に、地道な安全対策にもっと経費をつぎ込んでほしいものだ。


July 09, 2008

今日のランチ

逗子市小坪、石窯焼きピザ屋の「自遊人処」でまったりしています。
今日はさほど暑くもなく、カエデの緑が優しい。

子どもたちを連れたママのグループが大テーブルを囲んでいます。
石窯を覗きにくる3才の隼人くん。
「大きくなったら何になりたい?」って聞いたら、「ウルトラマン!」だって!!
本当になれたらいいね。ううん、信じてたらきっと夢は叶うよ。
赤ちゃんの手のひらみたいな葉をしてるカエデが応援しています。

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July 08, 2008

織姫と彦星が会えない理由

今年もクラス会の案内状がポストに届いた。
田舎の高校を卒業して10年も経っているというのに、僕ら3年C組の結束は固い。集る日が覚えやすいように七夕に近い週末をその日と決めて、「七夕会」という名前を付けた。

新幹線からローカル線に乗り換えた土曜日。これからの予定を思い巡らす。
誰にも会わないように時間を早めにずらし、降りるのは故郷の駅のもう一つ先。
小雨が吹き込む階段を降りると、いつものように軽自動車が僕を待っている。
後ろのシートにカバンを放り投げ、白いワンピースの膝に手を置く。
恥ずかしげに微笑む横顔が「おかえりなさい」。
僕の織姫がギアをドライブに入れる。

昔流行った『木綿のハンカチーフ』って歌、覚えてるかい?
僕たちはあれを地でいった野暮ったいカップルで、都会暮らしを鼻にかけた彦星と田舎暮らしを溺愛する織姫だった。心の距離は離れていき、やがて彼女は地元の公務員と見合い結婚、僕は会社の後輩とゴールインした。よくある話だ。

そんな僕たちが酔った勢いで、また関係を結んだのもよくある話。
おととしの七夕会、彼女のご主人が不倫したという愚痴を聞いているうちに、ぐでんぐでんに酔った2人は町外れの寂れたホテルで目覚めた。
「家は大丈夫?」
心配する僕に手を振って素顔のままバスに乗った彼女は、その時から大切な恋人になった。
妻よりも愛しい恋人。だけど一年に一度しか会えない恋人。もっと頻繁にと思っても、それが彼女の決めたルールだったから。

次の駅を知らせるアナウンスが流れ、電車が速度を落としていく。
改札口を出たら階段を駆け下りて、待っている軽自動車のドアを開ける。
カバンを後ろのシートに・・と、その時いきなり手が止まった。目をきょとんとさせた小さな女の子が座っている。
「娘なの。おじさんにご挨拶しなさい」。

ゆっくりと走る窓から流れ込む青い稲の匂い。もうすぐ梅雨が明けるのかな。
七夕会が開かれるホテルまで、3人でのドライブが彼女に会った最後となった。

「どうして?」と聴けずじまいなのは悔しくもあるが、来年も再来年もたぶん僕は情けないオヤジ面を下げて、故郷に戻ってくるだろう。
多分そんな日はきっと雨になり、織姫と彦星のデートは一生叶いそうにない。


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七夕に想いを寄せて即席で綴ってみた物語です。
去年の7月7日に書いた方が出来がいいかも・・(^_^;)

Copyright by Yuriko Oda

July 06, 2008

若くて美人は奢られて当然?

電車の中で、OLたちの会話を耳にした。
A子「昨日○○さんに飲みに誘われちゃって、奢りだって言うから行ってきた。」
B子「美人はいいよね、奢ってもらえて」
A子「今度Bちゃんも一緒に行こうよ。友達が一緒って言えば、向こうも誰か連れてくるよ。」
B子「え?私なんかでいいの?」
A子「若い女の子とデートできるだけでも感謝してくれなくちゃ!」

彼女たちの笑い声にだんだん腹が立ってくる。これは「奢り」じゃなくて「驕り」だ。
美人だから奢ってもらう、若いから奢ってもらうのを当然と思っている様子だ。
どこのテレビ番組だったか「私たちはお洋服やコスメにお金を注ぎ込んでるんだから、連れて歩きたいなら食事代くらいは男性が払うのが当然でしょ。」とインタビューに答えている女の子もいた。いつまで通用するのかな。

男性と飲食の席に行き、支払いの段階になったらどうするか。
・「ここはワリカンにしましょう」と宣言する。
・男性が伝票を手に取ったときに「あとで私の分をお渡しします」と言う。
・男性が支払った後にさりげなく「僅かですが・・」と、想定される額の半分を渡す。

「いいよいいよ」と断る男性は多いだろうが、払おうという姿勢を見せる女性には好感を持つはずだ。どんな大金持ちであったって、全ての女性に奢る義務はないのだ。
「今日は手持ちがなくて恥ずかしいんですけど・・」と500円玉を渡されたって、気持ちはスッとする。

就職して給料を貰うようになれば、社会人として自立した人生。
誰に対してもフィフティフィフティでいようとする凛とした姿は美しいし、相手を尊敬する気持ちはそこからスタートする。
お勘定にも思いやり。恋も友情も上下関係も、長持ちする女でいたいものだ。


July 04, 2008

魔女の館か竜宮城か・・

今週はあまりにインパクトの強い月曜日を迎えたため、しばしブログを休止していた。
何があったかって? 逗子で唯一のコミックバー(オカマバーではないと店主が言っている)「毛目子」の1周年謝恩パーティーだ。
私がブログにケメ子の話を載せるとお客が増えるらしく、今回も許しを貰ってご案内することにする。

ポスター

時刻は夜の8時半過ぎ、恐る恐る扉をあけると私たち以外お客は誰もいない。
しかしテーブルには某スーパーから運ばれたおつまみが並び、刺身の舟盛りを抱えたケメ子が微笑み、ジャズのライブが始まっている。

おつまみの準備刺身の舟盛りジャズバンド


「せっかく作ったんだから飲んでちょうだいっ!」と、サングリアか赤マムシ酒かというドリンクをグラスに注ぐ。一口飲んで皆が固まったのを見計らい、今度はシュワシュワッと赤いシャンパンが回ってきた。
むせ返る花の香り(造花だけど)、耳元でブホーブホーと響くホラ貝(サックスだけど)、金髪のウィッグをかぶったマリーアントワネット(ケメ子だけど)。男女問わずティアラを借りて、お姫様気分の撮影大会が始まる。

サングリアティアラ1ティアラ2


いつの間にかカウンターの中には作務衣を着たニューフェイスの銀ちゃん(顔はイラストから想像してください)。
ボーカルからマイクを奪い取り♪"You'd Be So Nice To Come Home"を歌いだすデザイナー(接待を放り出して来たらしい)。
ソーシャル風チークダンスを踊りだすケメ子と常連おじさん。
そしてもう1人ホットパンツに網タイツ姿で、若い頃の美川憲一に似たお兄様がデュエットを始めて、店内は笑いの渦。
興奮して騒ぐお客の頭を隣の客がペシペシと叩き、収集がつかない状態になっていく。

ケメ子と銀ちゃん
ダンスタイム


いったい何時にどうやって家に帰ったのだろう。竜宮城に行ってきたのだろうか。
記憶を吸い取られた魔女の館でのパーティーであった。

June 30, 2008

花を折られたアガパンサス

梅雨の季節に咲く花は、紫陽花だけでなくアガパンサスも代表選手だ。
ひょろひょろと伸びた茎に、怪しげな蕾がぷっくりと膨らみ、やがて破裂したかのようにラッパ状の花が放射状に咲く。和名では紫君子蘭(ムラサキクンシラン)。時おり白い花も見かけるけれど、目を惹きつけるのは青紫の花々だ。

大好きな道アガパンサス1アガパンサス2


自宅を出てエレベーターに乗らずに、時間はかかってもアガパンサスに彩られた道を歩く。
恋人と手を繋いでならどんなにロマンティックだろうと、心は赤毛のアンになる。

ところが先日、ポストに入った管理人組合からの通達には胸が痛んだ。
「過日、ロータリー通り植込み内のアガパンサスの可憐な花や蕾の10数本が、何者かにより切り取られてしまいました。周辺にお住まいの方々は、アガパンサスの花盛りを楽しみにしておりましたのに非常に残念に思っています。
自然の花の美しさ、清楚さが見る人々の心を癒してくれるのに、心もとない人によってこのようなことが起きたことは大変心苦しく悲しい出来事だと思います。」

管理費は嵩むけれど、このマンションの特長は毎日のように植木屋さんが入って樹木や花々の手入れをしていること。管理人さんも日に何度も敷地内を巡回し、人と緑を守っている心地良い空間なのだ。

今年に入ってから、花を荒らす人たちのニュースが度々流れる。
スーツ姿の男が傘でチューリップをなぎ倒す映像が公開されたり、何を思って美しいものを破壊するのだろうかと、その荒れた心が悲しくなる。
ニュースを見た誰かが行為を真似て、また被害が伝染していくのも悲しい。

世界遺産の大聖堂に落書きした岐阜の女子短大生しかり、京都産業大の男子も常磐大高校の野球部監督も・・と報道が拡大していくにつれて過去から現在形へ。他の世界遺産に模倣犯が出てこないだろうかと心配になる。

だからと言って罰則を厳しくしても付け焼刃。
正すべきは器物破損の行為以前に、マナーを知らない心を生んでいく社会ではないだろうか。「花盗人」を超えて「花折り人」が含み笑いする世相は歪みきっている。

June 28, 2008

車窓からの観音様

横須賀線で東京に向かうとき、必ず進行方向左側に座る。北鎌倉駅を過ぎて大船駅に着く直前、山の上に白い観音様が現れるからだ。

不思議なのは日によって変わるその表情。
私の心が反映されているのだろうけど、穏やかに微笑んでいる日もあれば厳しく素っ気無い日もある。今日はいつもよりニコニコしているなと思うと、出掛けにラッキーを授けられたようで縁起がいい。

大船観音3大船観音1


大船観音は車窓から拝むだけでなく昔、辛い恋をしていたころ何度も通ったことがある。
下手な筆で『般若心経』を写経しては、信徒でもないのに観音様の胎内に奉納した。
しかし願いが叶わなかったのは、「そんな相手はやめておきなさい」という観音様の御慈悲だったのかもしれない。

それから性懲りもなく恋も仕事も試行錯誤を繰り返して、愛おしく思う自分がここにいる。
東京へ向かうのは東海道線から横須賀線になったけれど、車窓からの習慣はずっと同じ。
ホームの屋根で見えなくなるまでの短い時間、手をあわせて今日も元気でいられることを感謝して、みんなが幸せでありますようにと祈りを捧げる。

大船観音2

ここにアップした画像は、風水師のMaster Kohに撮って頂いたもの。
彼は私の写真を撮るとき必ず「あごを上げて!」と注文する。うつむかず背筋を伸ばし、いつも微笑んでいることが幸運を呼び込むらしい。

後ろで見守ってくれる観音様の温和な表情に近づけるよう、まだまだ至らない心を磨いていこう。

June 27, 2008

ありがとうは究極の言葉

父が入居している介護施設に、年間ケアプランの説明を聞きに行った。同じ文章を去年もブログに書いたなと思いながら、一年があっという間に過ぎていくことに驚く。

小坪の「魚佐次」で中トロのサクを買い、食べやすい大きさにカット。
「旨いマグロの刺身が食べたいなあ」と言う父が楽しみに待っているお土産だ。3時のおやつに間に合うかな。

面談表を広げてのミーティングが終わると、「おーいおーい」と声が聞こえる。
待ちかねた父が私の名を呼ぶ声である。
テーブルに行こうねと、スタッフにお願いしてベッドから車椅子に移してもらうと、父は何度も「ありがとう」を繰り返す。

身体の向きを変えてもらうと「ありがとう」。
着衣の乱れを直してもらうと「ありがとう」。
筋力が弱り震える手でお刺身を口に運びながら「旨いなあ、ありがとう」。
アルツハイマーの入居者が傍に寄って来れば「こんにちは、ありがとう」。

ケアステーションの中にいるスタッフたちの名前を呼び続けて、「どうなさいまいしたか?」と聞かれたら「○○さん、いつもありがとう」。
経営者時代の癖が残っているのか、わざわざ呼びつけて「ありがとう」には皆で大笑いしてしまう。

仕事をしていた頃、お客様に何千回何万回と頭を下げて言った言葉。
物忘れがどんどん酷くなっていく中で、最後まで記憶に残っている言葉。

脳卒中で倒れてから4年が過ぎたが、今でも父を口汚く罵ったり陥れようとする輩は多い。でもきっとそんな人たちに対しても、父は「ありがとう」と言うだろう。

今さらながら、なんて素敵な言葉なんだろうと目からウロコが落ちた。
私を育ててくれた親に感謝して「ありがとう」を引き継いでいかなくちゃ。
いつも励ましてくれる友人たちに感謝して「ありがとう」を広げていかなくちゃ。

口に出して、こんなに心地よく響く言葉は他にない。